とある居酒屋
あなたと一緒におれるって思ったのに。
メンバーがここに連れてきた理由は……
何度かあなたと話してたから。
たったそれだけの理由。
神ちゃんには幸乃のこともあって話しちゃったけど他のメンバーに言うつもりはない。
俺が心配してるのは
あなたが東京に来るのは初めてと言っていいほど。
幸乃に任せて大丈夫なんだろうか…
そんな心配をよそにメンバーはガツガツ飲み食いする。
俺も食べ始めた時…口を開いたのは淳太だった。
言わない。
言えない……
幼馴染って。
言ったらみんなあなたを狙いに来る。
神ちゃんだってあなたを……。
幼馴染で愛してる人なのにメンバーに出た言葉は嘘。
いや……間違ってないのかもしれないけど。
あなたが独立する前からファンでもあった。
神ちゃんは『は?』って顔で俺を見て来る。
濵ちゃんの言葉で飲んでた酒を吹き出した。
隣にいる神ちゃんに
耳打ちされた。
なんか弱みを握られたという感覚。
俺と神ちゃんのスマホが鳴った。
幸乃からあなた連れて行きたいって連絡があった。
あなたのことだから入った瞬間大ちゃーーんとか言いそう(笑)
神ちゃんが言ってることもわかる。
2人で飯行きたかったのに……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!