「清良!!!」
「秋人!久しぶり!!!」
「清良、聞いてくれよ!!!」
「どうしたの??秋人??」
俺は鞄から採用通知を取り出す。
「俺、採用されたんだ!!!」
「秋人!おめでとう!!!」
「お祝いだね!」
「ありがとう!!」
「秋人は就職したら家を出るの??」
「そうだね。確実に。」
「卒業したらもう会えなくなっちゃうね。」
「そうだな……」
もっと早くに清良に出逢えていたら……
こんな想いが巡る。
「私、もっと早くに秋人に出逢いたかった。」
「急にどうしたの??」
「そしたら…私は飛び降りなんてしないで…秋人と友達に慣れてたんだろうなって思って…」
「……」
「そういや、清良ってもし生きてたら俺の先輩じゃん??」
「そういうことになるね…」
「清良って、俺の3つ上??」
「うーん……本当はもっと。」
「もっと!?どんくらい??」
「秋人の6個上。飛び降りてから6年が経過したの。」
「6年も……」
「そうだよ〜。長いでしょ??」
「そんな…その間に清良に話し相手いた?」「さぁ??いつか教えるよ」
「いつかっていつ??」
「私が成仏して、秋人と別れて生まれ変わる前??」
「なんじゃそりゃ」
「ふふふっ」
清良が微笑む。
俺もつられて……
「ははっ」
「「はははははっ!」」
久しぶりに清良に会えて、今までの疲れ、就活で内定が取れなかった不安があなた吹き飛んでった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!