暗い部屋、暗い空
私はため息を漏らした。
ここは韓国にある孤児院。外が晴れていても中はいつも薄暗い。だからなのか、ここにいる子供たちはみんな暗い顔をしている。私もそうなのかもしれない。
私は物心がついたときにはもうここにいた。今は13歳。まだ19歳まで6年。19歳になったらここを出られる。みんな、その時を待ち望んでいる。けど、、、ここを出たらもっと厳しい生活が待っている、。そんなのみんな知っているけど、自由に生きたいんだってみんな言っている。私も、そう。
たまに、11歳になったら手紙を受け取ってここを去る人がいる。私にはこなかった。
今日、誰かが子供を一人引き取りに来る。周りのみんなが噂をしていた。
私じゃないのはわかっている。目つきは悪いし愛想もない。そしてこの歳だ。大体の人は「外見なんて気にしない」だとか「年齢なんて関係ない」とか言っているけど、そんなの口だけだって知ってる。
今日来る人は、多分最年少の子のイェソのあたりを引き取るんだろうな。可愛いし、愛想もいいから。
そして、その人が来た。院長が説明している。おそらく夫婦。
数時間後、その夫婦は案の定、イェソと手を繋ぎながら孤児院から出て行った。
今日はいつも以上に外が暗い気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。