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第8話

第8話 ほたるの夢1
2200年から持ってきたテントは周りからは見えない。透明になる機能を搭載しているおかげで、こちらの存在を知られることなく野宿することができるのだ。そして、冷暖房設備も完璧。北極でも南国でも快適に過ごせる作りになっている。
ナイン
ナイン
(朝日が眩しい。ほたるの家から信号は発信されなかったな)
一晩中起きてほたるの家の窓を眺めているわけにもいかないため、ペンライトに細工をしておいたのだ。
ナイン
ナイン
(ペンライトのボタンに貼っておいた透明のシール。ボタンを押すと俺の持っている端末に通知が来る仕組みなんだ。未来に帰る時にでも回収しに行こう)
ナインは2200年から持ってきた栄養補給タブレットで朝食をすませると、テントをしまって公園を後にした。高校生とたわむれたり公園で野宿したりするために、わざわざ未来からやってきたわけではない。この時代の日本の歴史が史実通りか確かめるために来たのだ。主な調査内容は、歴史上に残る有名な人物の消息確認、この時代にあったとされる物が実在するかどうか。2200年には絶滅している動植物の確認も怠ってはならない。ナインの目で捉えきれない物も、探査器があればアラームで教えてくれる。

簡単にいうと、とにかく歩いていればいいのだ。
ナイン
ナイン
(とはいっても、俺はスーパーマンじゃないから永遠に歩き続けることはできなくて)
調べ物に役立つのはいつだって図書館やインターネットといった、大量の情報が保管されているデータベースだ。2200年では、国会図書館に保管されていた全ての紙の本がデータ化され瞬時に検索できるようになっている。それよりも百数十年さかのぼった今の時代で調べ物をするのは、未来人のナインにとっては骨の折れる仕事だが、革命時代のヴェルサイユ宮殿でスパイ活動をしていた頃に比べればだいぶマシだ。

電車に乗って国会図書館へ向かった。防犯カメラに自身の姿が映りこんでしまうのは仕方がない。都内は特に人が多すぎて、ありふれたスーツを着た若者が歩いていたところで、どこの誰かなんて誰も気にしちゃいない。
ナイン
ナイン
(近くに神社があるのか。たしか、この時代は「御朱印」というのが流行っていたんだよな)
テクノロジーの進んでいる2200年にも変わらず、神社はその場所にしんとたたずんでいた。
ナイン
ナイン
(せっかくだからお参りしていこうかな。神社仏閣がちゃんと存在しているかを調べるのも、タイムトラベラーの役目だ)
大きな鳥居をくぐる前に一礼。砂利の敷き詰められた参道を歩くと、じゃりじゃりと音が鳴り耳に心地よい。手水舎で手と口を清め、本殿へ。お賽銭を入れて鈴を鳴らし、二礼二拍手。この作法は今も未来も変わっていない。
ナイン
ナイン
(おおっと、何をお願いしよう……)
ナイン
ナイン
(自分の健康?俺、毎日鍛えているから、わざわざ神様にお願いしなくてもな……)
ナイン
ナイン
(ああ、そうだ。あの子のことをお願いしよう)
ナイン
ナイン
(ほたるの病気が治りますように。元気にダンスを続けることができますように)
ナイン
ナイン
よし!
ナインはお願いごとを一生懸命するのに夢中で、最後の一礼を忘れてスタスタと来た道を戻っていった。

スーツを着たイケメンさんが必死な表情でお参りしていった。境内を掃除していたお手伝いのトメさんがお昼休憩中、皆に話すとも知らず、ナインは颯爽と図書館へ向かったのであった。

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平七羽
平七羽
こんにちは!平七羽(たいらいろは)です。ファンタジーとイケメンをこよなく愛しています。疲れちゃう毎日ですが、少しでも楽しくなるように。そんな小説を書いていきたいと思います╰(*´︶`*)╯💠twitter→@taira_iroha💎(アイコンは「宝ひかるは石の国」表紙でおなじみのkaoliniteさん@okayuatsuiから🎶)
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