花火会場についた
人ごみに紛れても、ふんわり
オシャレないい匂いがした
なんて言って、私に手を伸ばす
肩に手を回されるような形で
手首を私の首につけてきた
なんて身をよじったら
思いっきり他人様の足を踏んじゃった
まだ負の連鎖は続いてるらしい
って、なーくんの目線の先にはさとみくん
なーくん…目が笑ってないよ…
そう言うとなーくんは友達と思われる人たちのところに去って行った
なーくん、感じ悪い
まぁ、踏んだの爪先だったからね
痛かったんだろうな…
なーくんの背中に向かって、ナムナム
拝み終わったら、私たちも場所取りに行く
花火の打ち上げ時間が迫ってることもあって
いいところなんて全然空いてない
にこって笑いながら、空を指さすさとみくん
心の広さありがたや
のんびり、空を見上げる
ほのぼの
いい感じ
もうすぐ花火が始じまる
前も後ろも、両隣も人で溢れてきた
さとみくんが左手を差し伸べてきた
…この手は何?
はっ…まさか…手を繋ぐ…とか?
さとみくんの浴衣の袖をギュッて掴む
手は…ねぇ?
その…汗が…さww
恥ずかしいものはしょうがない
花火が始まった
パラパラと花火が散る
それを眺めるさとみくんを観察中
…不覚にもカッコイイと思ってしまった
グイッと顔を寄せた
私の目線に近づき
近づく彼の横顔
…近いんだよな
うわぁ…肌すべすべだぁ…
あ、この人もしかして…毛穴無い方…!?
至近距離
目があった
パッて、目を逸らしちゃった
特に意味は無い…と思う
そんな私のことを見てクスって笑うさとみくん
…負けた気分
何よ、その疑いの目
ちゃんと好きにならなきゃ付き合わないでしょ?
失礼しちゃうよね
…やっぱりチャラいんだ
ちょっとガッカリしたかも…
…って、何でガッカリしてるんだろ?
まぁいいや
話変えちゃえ~!
夜空をカラフルに照らす、スターマイン
途切れない音
大好き
あ、話戻された
恋愛だっていっぱいしてきたもん
そう反発しようとしたら
浴衣の袖を掴んでた私の手を
さとみくんが握りしめてきた
さとみくんの声は
スターマインの音にかき消された
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。