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第9話

後の悔い
_3月2日_[不思議な世界の少年]

変な感じだった。見たこと無い景色なはずなのに頭に強く印象残っている。これはダレの記憶…?


この記憶を見るときは心が、体が苦しくなる。
駆け出す少年と歩行者をろくに見ていないトラック。そして少年を助けようと手を伸ばす女性。
助けられた少年と助からない女性。どこかへ逃げていくトラック。周りの人間の心ない言動。
まるで別の世界にいるような存在感の二人。絶望に、後悔に顔を歪ませている少年と対称的に優しく温かい微笑みを見せている女性。

助けられなかった。

なんで

なんでだ

なんでだよ。

なんでなんでなんでなんで

おいていかないで

まにあわない…


「…………っっ!………はぁ…はぁ…」

これはダレの涙?



嘘だ。分かってる。これはダレでもない自分の記憶。

小さい頃、ある女の子に一目惚れをして、幼心にその女の子に誕生日プレゼントを渡そう、と一人で家をでた。楽しみなことしか頭になかった俺は毎日しつこいくらい言われていたのに曲がり角で車を見ていなかった。
「どーせこないって!大丈夫!いつもいないし!」
本当に自分が憎い。そんな甘く考えていて。そりゃ人の命の1つや2つ奪うってものだ。

そしてあの“記憶”に続く。

トラックに気づかなかった俺はさっきまで玄関で見送ってくれていた母親に押し飛ばされた。何が起こったのか正直分からなかった。ただそこには自分のせいで冷たくなってしまった母親が横たわっていた。
いつも綺麗な長髪をなびかせながらたくましく、明るい笑顔で全て包み込んでくれる母親の姿はなかった
「あ…あ……?なに…これ…え…?お…おかっ…!おかぁさ…ぁ…ぁぁぁ…?……………おかあさん!ねぇ!!?おかぁさん…?」
よほどの大声を出していたのか近所の人が急いで救急車を呼んでくれたようだ。やけにサイレンの音が大きく感じる。何も考えられずに言われるがままに俺も救急車に乗る。
だが魔法でもないわけで、母親の様態は良くならないようだ。俺は叫んだ。
「おかぁさん!おかぁさん!おかぁさん!おかぁさん!」

おいていかないで

そう叫んだつもりだったけど声にはならなかった。


そして母親にはもう2度と会えなくなった。
自分のせいだ。心が押し潰されそうになる
みんな『お前のせいじゃない』と言う。けどそんなの何にもならなかった。励ましにも、母親の代わりにも。何にも。


そこから俺は数日ずっと自分の部屋で泣き続けていた。けど自分が泣いていると母親の代わりに家に居てくれることになった祖母が悲しんでいるのが分かった。

もう俺のせいでみんなが辛くなるのは嫌だ

そう思った。から自分で言うのもなんだがそこそこいい人になれたと思う。みんなからは弱点が見えない人に。俺のせいで誰か苦しまないように。


もう同じ間違いはしたくないといつも思っていた。


そんな記憶。


なのに結果がこれだ。また、いつも綺麗な長髪をなびかせながらたくましく、明るい笑顔で全て包み込んでくれるあの母親のような温かい女性を…頼咲莉海を失った。いや、ころしてしまった

なんで

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朱茶_見る専
朱茶_見る専
ακаηёと仲良くしてくれた人ありがとうございました! リアルが忙しくなってきて負担となってしまった為、小説投稿、プリ小説から離れます。
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