第40話

40.謝罪
603
2023/08/13 15:30
🦊
ヨサンア!!ヨサンア!!
目の前で、ずっと眠っていたヨサンアが、襲撃された瞬間、あの姿に変わった。

防衛本能だろうか。眠ったままだった。


今、起きてくれていたなら、謝ることが出来たのに。

そう思いながらも、ぐったりとしたヨサンアを抱き抱えて逃げようとした。


その時、ようやく気づいた。
青白い光が、優しく周囲を照らしていることに。
🦊
な、なんだ…?
その光源は、喰種だった。

赫子が構築する形は神にも仏にも天使にも見える。
きっと、何も知らないままこれを見ていたら、きっと神も預言も信じてしまうだろう。
👸
……ジョンホだ。
腕の中から声がした。
👸
ウヨンア、腕、きついよ…
🦊
ヨサンア!!
腕の中で、目を開けたヨサンと目が合った。


もう、嗚咽しか出なかった。
👸
ウヨンア、落ち着いて。
🦊
ヨサンアぁ、ごめんな…!
👸
…なにがぁ、
🦊
全部…!!全部俺のせいだ!!
どう償っても足りないようなことをした!!
👸
…うぅん。
僕、これだけ僕のことを思ってくれる人が居て
良かったと思うんだ。
🦊
違う!!お前は…優しいから…!!
👸
こっちこそ、ごめんね。
記憶、戻らなかった。
でも、長い夢を見たんだ。
🦊
夢…?
👸
もう1人の僕が、「ウヨンを大切にして」
「守って」って、言ってくれたんだ。
🦊
…うぅぅう……
👸
泣かないで…
今の僕も、過去の僕も、
ウヨンアのこと好きだよ。
顔を上げると、青白い光は砂煙を上げながら
人間を薙ぎ払っていた。
🦊
…いこう!
ヨサンと生きよう。生き延びて、もっと楽しいことをするんだ。

生きていてよかったと言わせてやる。


足に力が入って、俺たちは青白い光に背を向けた。

プリ小説オーディオドラマ