第33話

33.潜伏
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2023/06/03 11:20
捜査官
おい!ユノ!!
🐶
…っはい!
捜査官
どこ見てるんだ。
気が緩んでるのか?
🐶
いえ、そんなことは無いです。
捜査官
ならしっかりしろ!
🐶
はい。
一昨日から、何も考えられない。

急に、ミンギとの距離がわからなくなってしまった。



🐶
…はぁ、
当たり前のように隣にいたミンギ。



僕はそのミンギを、歪んだ欲によって利用しようとしていた。


ずっとずっと考えていた。



本当にこれでいいのだろうか。

自分の心は、やめろと叫んでいる。
でもその声を塞ぐ黒い欲望。


強くなる、強く、もっともっと強く。
そして絶対に何も奪われない僕になる。

そうしたら、僕はきっとあの頃の無力な僕を無かったことにできる。



僕は絶対に奪われない。







捜査官
お、そういえば。
ユノ。これ。
手渡されたのは、「クインクス計画」と書かれた封筒。
捜査官
お前、本気でクインクスになろうとしてんのか。
🐶
あはは、まぁ。
クインクス。

クインケを植え付けた捜査官。
それを作り出す計画に、僕は名乗りを上げた。


ヨサンが「失敗作」と呼ばれた計画の最終形態。


僕はもっと強くなる。


ほかの捜査官が離れ、ここにいないことを確認してから封を開けると、長々とした身体検査の結果とともに、赤い印。
🐶
ふ、ふふふっ
「適合」
もう、笑いが止まらない。

これだけが欲しかった。
自分が赫子に適合するかだけが。


クインケはここでは埋め込まない。

なんのために赫子を集めたと思ってるんだ。

僕は適合した。
🐶
あははっ!やったぁ…!!
僕はもっと強くなる。
最強に。

喰種よりも、人間よりも強くなる。

何からも、何も奪わせない。

僕のためだけの世界になればいいんだ。
🐶
あはははっ!!
血が熱く、駆け巡るのを感じた。


燃えろ、僕の中のRc細胞。
受け継いだお父さんの血。
🐶
……あ、1人気に入らない人いたなぁ。
祖母だけ、僕の世界にはいらなかったな。

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