第42話

42.秀色「神」采
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2023/09/03 13:42
僕は、1番最後にこのカフェに来た。

ヒョンたちほど思い入れもない。

でも、何もかもが新しくて、楽しくて、幸せだったと思う。

こんな僕でも、この場所を大切だと思えた。



背中の甲赫は重く、今までで1番大きく広がっている。

崇められる度に嫌いになっていったこの赫子が、ようやく役に立つ日が来たのだ。
🍎
…たのしい。
赫子のひと振りで面白いほどに潰れていく建物。人。町。

きっと神のままでは知り得なかった、喰種としての本能が、沸騰するように溢れかえった。



生まれた時から、身の回りには信者の喰種しかいなかった。

僕の説得によって、変な信仰に気づいた喰種もいた。それを僕はこっそり逃がした。

次の日に、彼らは僕へ献上される肉となった。


彼らの肉が、僕の体を強くした。



滾る血。細胞。今、ここまで重ねた人生が全て僕の味方だと思える。
🍎
…いい景色。
ヒョンたちを守ることは大義名分。

そのはずが、なんだか楽しくなって、安心できて、不思議な感覚。



気づくと、瓦礫の上に僕は立ち尽くしていて、1面は血の海だった。


もう人1人居ない。




秀色神采。とても美しい景色だった。

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