第36話

36.自己催眠
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2023/07/11 13:14
🍎
ユノヒョン、限界なんでしょう?
ジョンホはユノを見ながら複雑そうな顔をした。



ジョンホの青白い後光は、ジョンホの甲殻が美しく、そして怪しく光輝いているものだとようやく気づく。

美しい赫子とは聞いていたものの、実際に見るとそれは格別に綺麗だった。
🐶
なにが。
🍎
会った時から、変な歪みは感じていました。
それが何か、後戻り出来ないところまで来ているんでしょう?
🐶
意味がわからない。
僕は普通だよ。
🍎
絡まった糸を無理やり引っ張ったみたいな、そんな感じ。
ジョンホは小首を傾げながら、両手で糸を引っ張るような仕草をした。
🍎
一つ一つ解きましょう。
ジョンホの声と存在感は、とても神々しいものだった。





🍎
まずユノヒョン、
なんで喰種になりたいんですか?
🐶
何も僕から奪われないため。
ユノは強い目で答える。
🍎
具体的に、何を奪われたくないんですか?
🐶
友達、家族、自分の命……
🍎
じゃあ、なんでミンギヒョンの赫子が欲しいんですか?
🐶
友達だから、
🍎
あなたの1番大事なものは?
🐶
大事なもの……
そこで止まったユノの回答。



よく考えて、またユノは顔を上げた。
🐶
ミンギ
🍎
でしょう。
🐤
え、そうなの?
俺はなんだかソワソワとしながらもその続きを待った。
🍎
そこ。絡まってるところ。
ミンギヒョンの赫子欲しいってことは、
ミンギヒョン殺すってことだけど。
🐶
そのくらい分かって……
そこで、ユノはようやく「あれ、」と何かに気がついた。
🍎
殺したくないのに殺したいんでしょう?
🐶
いや、違う。喰種になりたくて、
殺す殺さないじゃなくて…
🍎
動機と選択の話をしているんです。
喰種になる、は目的じゃないですか。
🐶
喰種になりたいから…
ミンギを殺すしか…
🍎
ミンギヒョンを守るために喰種になるにはミンギヒョンを殺すしかないんですって?
ぐちゃぐちゃですよ、もう。
🐶
いや、だから、
慌て出すユノの肩をジョンホは強く掴んだ。
🍎
それ、自己催眠ですよ。

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