吹雪ちゃんがスタートラインに手を添える。
──バンッ!!
勢いよく飛び出したのは吹雪ちゃんと3組の石綿。
でも、圧倒的に石綿のほうが早い。
バトンが柏木さんに渡る。
この間の朝練よりもフォームが良くなった気がする。
後ろにいた集団が前へと攻めてくる。
─パシッ!!
しっかりと府間の手の中に収まった。
ここからは3組との一騎打ち。
だが、どうしても抜かせない。
そのままバトンは神谷に──
笑顔を見せながら独走する神谷。
もう3組の姿は見えない。
神谷の後ろをゆっくりと走っている。
そのままゴールイン!!
リレーのが終わると、次は男子長距離走。
ついに、一茶の出番だ。
一茶は入場門へと向かった。
しばらく経つと入場のアナウンスがかかり、一茶はスタートラインに着いた。
落ち着いた真剣な眼差し。
─スタートの合図が校庭に鳴り響いた。
その音と共に、応援席から多色多彩な声が、力強く選手たちに贈られた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!