第83話

中心
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2018/03/30 03:41
緋色賢也
緋色賢也
じゃあ、シュート練をするんだけど、
まず、みこちゃんのお手本を見てからで。
できる?
神谷美琴
神谷美琴
えっと…本気でやるの?
緋色賢也
緋色賢也
うん。
神谷美琴
神谷美琴
ジャージに着替えるから、待ってて。
緋色賢也
緋色賢也
わかった。
その間にコート分けをする。
みこママは保健室へ走って向かった。
緋色賢也
緋色賢也
Aコート、涼翔、神文くん、茶髪の子、黒髪ピアス。
手を上げろ。
涼翔、文くん、松下くん、仁宮くんが手を上げる。
緋色賢也
緋色賢也
あん、ゼッケン赤配って
緋色あん
緋色あん
はい
赤ゼッケンをAコートの4人に配る。
緋色賢也
緋色賢也
コートB、黒髪の高身長、先っぽ茶髪、黒マスクの3人、手を上げろ。
佐々木くん、田所くん、多倉くんの3人が手を上げる。
緋色賢也
緋色賢也
あん、そいつらに青ゼッケンね
緋色あん
緋色あん
はい
緋色賢也
緋色賢也
で、Cコートが──
そのとき、みこママが戻ってきた。
神谷美琴
神谷美琴
準備できたよ
神谷文陽
神谷文陽
家での母さんじゃん…
みこママはさっきの可愛い雰囲気がなくなり、さばさばしたスポーツ女子になっている。
佐々木和哉
佐々木和哉
いつもと違う…
多倉良平
多倉良平
はりきってんな…
それで低レベルなら笑えるわ
みこママはゴールの前にボールを置いて立った。
緋色賢也
緋色賢也
じゃ、まずストレートで
神谷美琴
神谷美琴
わかった。
特に力強くも助走もかけていない。
なのに…真っ直ぐ、ゴールに向かって物凄い速さでボールが入った。
仁宮伊吹
仁宮伊吹
え…
田所栄道
田所栄道
なんで…
松下勝基
松下勝基
スゲえって…
佐々木和哉
佐々木和哉
上級者…
多倉良平
多倉良平
…ッ!!
緋色賢也
緋色賢也
じゃ、カーブと落ちていくシュート
神谷美琴
神谷美琴
ケンケン、回転掛ける?
緋色賢也
緋色賢也
うん
みこママは、どちらも綺麗にゴールへとボールを運んだ。
特にカーブは拍手が自然に湧いた。
緋色あん
緋色あん
(すごい…)
すごいというレベルでは収まらない。
上級者しかできないような技をなんなとこなす。
松下勝基
松下勝基
何で今まで俺らに指導してくれなかったんだよ…
その言葉がみこママの耳に入ったのか、みこママは勝基くんの目を見て応えた。
神谷美琴
神谷美琴
先生は…美術科の先生であって体育科の先生じゃないし、サッカー部の副顧問だからね…
─もう、サッカーは辞めたもん笑
神谷文陽
神谷文陽
嘘つけ。
神谷美琴
神谷美琴
え…
神谷文陽
神谷文陽
母さん、父さんと夜に庭のサッカーコートでサッカーしてんの見たことあるし、楽しそうだったじゃん。
神谷美琴
神谷美琴
黙り込むみこママ。
緋色賢也
緋色賢也
まあ、俺もサッカー辞めたけどこの間家族としたしな?
緋色あん
緋色あん
うん…
緋色涼翔
緋色涼翔
うん…
緋色賢也
緋色賢也
離れられなくなるからな…
でも、そのくらい好きになれたなら、自分の人生はサッカーが中心にあって生きていたって胸を張って言えるな。
神谷美琴
神谷美琴
そうだね…
緋色賢也
緋色賢也
お前らも、そのくらいサッカーを好きになれよ。
黙っていた生徒さんたちも

「「「ハイッ!!!!」」」

と声の通る大きな返事をした。
その後、シュート練、1対1、2対3、4対1、試合、その他諸々の練習をし、こうして、お父さんの1日コーチは幕を閉じた。

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