第109話

親子
200
2018/05/15 10:26
緋色郁文
緋色郁文
(まてまてまて…!!
隣に座ってんの姉ちゃんじゃん!?)
席的にはこう↓

┌──┬──┬──┬──┐
│和誉│郁文│あん│神谷│
└──┴──┴──┴──┘
緋色郁文
緋色郁文
(マジでまずい…!!)
神谷水翔
神谷水翔
うおっ!?
緋色あん
緋色あん
ちょっ、大丈夫!?
神谷水翔
神谷水翔
あっぶねぇー
神谷とか言う男がボートに乗ったとき、少しバランスを崩した。
ボートがゆらりゆらりと揺れている。
こいつら大丈夫なのか?と郁文は見詰めるが、あんたちは全く気づく気配が無い。
緋色郁文
緋色郁文
(ねーちゃんのバッグ邪魔だな…)
緋色あん
緋色あん
あ、すみません!
全く気づかない。
まあ、それはそれでありがたい。
和誉
和誉
ねぇ、ねぇ、郁くん。
隣の人って─
俺は咄嗟に和誉の口を押さえる。
俺は自分の口近くで人差し指を立て、しゃべんなと伝える。
なんとかあんには気づかれなかった。
ボートが動き出す。
和誉
和誉
ここどこの国かな??
緋色郁文
緋色郁文
ロシアとかじゃねーの?
ほら、あの建物見たことあるし
和誉
和誉
確かに~!!
たわいない会話だが楽しい。
ふと、横に座るふたりが気になった。
あのふたりはどんな会話してんだろうと聞き耳を立てる。
神谷水翔
神谷水翔
ねみぃー
緋色あん
緋色あん
我慢しなさいよ。
子供じゃあないんだから…
緋色郁文
緋色郁文
(母親かよ。)
親子のような会話。
でも、あんの口調からは見えずとも笑顔だと分かる。
緋色郁文
緋色郁文
(ねーちゃんの彼氏か…)
本当にこの人で大丈夫なのだろうかという心配はあるが、ねーちゃんも俺らのことをそういう目で見ているんだと思うと、温かい目で見守るのが一番だとしみじみ感じた。
緋色郁文
緋色郁文
(子供扱いか…神谷さん、可哀想に…)
自分の身にもあったことだったからか、なぜか親近感が湧いた。

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