席的にはこう↓
┌──┬──┬──┬──┐
│和誉│郁文│あん│神谷│
└──┴──┴──┴──┘
神谷とか言う男がボートに乗ったとき、少しバランスを崩した。
ボートがゆらりゆらりと揺れている。
こいつら大丈夫なのか?と郁文は見詰めるが、あんたちは全く気づく気配が無い。
全く気づかない。
まあ、それはそれでありがたい。
俺は咄嗟に和誉の口を押さえる。
俺は自分の口近くで人差し指を立て、しゃべんなと伝える。
なんとかあんには気づかれなかった。
ボートが動き出す。
たわいない会話だが楽しい。
ふと、横に座るふたりが気になった。
あのふたりはどんな会話してんだろうと聞き耳を立てる。
親子のような会話。
でも、あんの口調からは見えずとも笑顔だと分かる。
本当にこの人で大丈夫なのだろうかという心配はあるが、ねーちゃんも俺らのことをそういう目で見ているんだと思うと、温かい目で見守るのが一番だとしみじみ感じた。
自分の身にもあったことだったからか、なぜか親近感が湧いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。