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第1話

隣の席
758
2018/02/16 03:08
それは1年前。
帰宅部の私、《緋色あん》が雨の中、跨線橋の階段を降りていたところだった…
“ツルッ”
階段の金属が雨で濡れていたからだと思う。
足が滑った。
緋色あん
緋色あん
キャッ!!
こけたんじゃない、階段から落ちていることがわかる。

でもその時、痛いと言う感情はなかった。
背の高い同じ中学の男の子が私を抱き留めてくれていた。
???
うっ…
緋色あん
緋色あん
す、すみません!!
???
…え、だいじょぶ?
緋色あん
緋色あん
え、はい!!
???
そうじゃなくて、
…パンツ見ちゃったけど。
緋色あん
緋色あん
(カァーッ///)よくないですっ!!
私は走って家へ帰った。
格好いいと思った自分がいけなかったのは分かっている。
それでも、失礼な人だということは一年たった今でも憶えている。

今日はクラス替え──
新しいクラスで頑張るつもりだ。




自分の席を確認するととなりの席の男の子の顔を見る。

マスクを付けていて分からないが顔が幼く、可愛いらしいのは何となく見えた。
かなりの猫背だ。
緋色あん
緋色あん
えっと…緋色あんです。
よろしくね。
神谷水翔
神谷水翔
うん、よろしく。
緋色あん
緋色あん
君は?
神谷水翔
神谷水翔
俺?神谷。
緋色あん
緋色あん
神谷くんね。
神谷水翔
神谷水翔
おう。
神谷の最初の印象はまあ、この程度のものだった。





























─なのに、数日たてば彼の違った顔がすぐに現れた。



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