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2020/04/27

第5話

4





義勇さんと散歩をした日から



待てど暮らせど



義勇さんは1度も姿を表さなかった。













そして


あの言葉がずっと引っかかっていた






「生きていればまた通わせてもらう」






なにか危ない仕事でも

しているのだろうか。




だから、
私ににも教えてくれなかったのだろうか。








そんなことをずっと考えていた。
お父さん
どうした、あなた
あなた

ん?なにが

お父さん
なにか浮かない顔をしていたから






今はお客さんがいない時間帯




椅子に座り休んでいるお父さんが



私に声をかけてくれ
あなた

最近あの人来ないなぁと思って

お父さん
あぁ、
若い男性か
あなた

うん。
元気にしてるのかなって

お父さん
毎日のように来てくれていたのにな






義勇さんのことを思い出すと



何故か泣きそうになり


必死に涙をこらえる







すると
お父さん
あなた






そう言って


私をじっと見つめるお父さん



その顔はすごく優しくて
お父さん
あなたには
いつも店の手伝いばかりさせて
好きなことをさせてやれてない
お父さん
父さんな。
もうこの店を渡そうかと思っているんだ
あなた

……え、なんで?

お父さん
父さんも体が追いつかなくなってな。





たしかに。



お母さんが早くに亡くなり


お父さんひとりで私たちを育ててくれていた。



お父さん
あなたにも
下のやつらにも
好きなことをさせてやりたい
お父さん
それが父さんの願いだ。





その言葉に涙が溢れ
あなた

あのね、お父さん

お父さん
どうした?
あなた

いつも来てくれていた男性は
義勇さんって言うの

お父さん
うん
あなた

前にお父さんに言って
散歩に出た日……
また来てくださいって言ったら……
生きていたら、と言われて……ッッ

あなた

それからずっと会えてなくて……
そればかり頭に残ってて

お父さん
……それは心配だな






次々と涙が溢れだし


ボタボタと涙が落ちる






すると







(ガラガラ)







店の扉が開き









咄嗟に涙を拭き



準備をしようとすると










そこにはずっと会いたくて仕方なかった






人の姿があり


















あなた

ぎ……ゆ、うさん……

冨岡義勇
冨岡義勇
すまない。
暫くの間来れなかった






そして義勇さんは
丁寧にお父さんに向け頭を下げていた
お父さん
義勇さん。
いつもありがとう
冨岡義勇
冨岡義勇
いえ。
こちらこそいつも
お世話になっております
お父さん
どうぞ、座ってください






そしてペコッと頭を下げ席に着いた義勇さん。






急いで料理の準備をしていたら
お父さん
義勇さん。
うちね店を渡そうと思ってるんです





そう義勇さんに言うお父さん。




この店を渡してしまえば
もう義勇さんと会うことなんて
なくなるだろう。




ぎゅっと手を握りしめ
辛い感情を抑える。
冨岡義勇
冨岡義勇
……そう、ですか
お父さん
いつも来てくれていたのに
申し訳ない
…そういや
義勇さんはいつもちゃんとご飯は
食べているのかい?
冨岡義勇
冨岡義勇
……いえ。
ここに来ている以外は
あまり何も…
お父さん
家でご飯は食べないのかい?
冨岡義勇
冨岡義勇
……自炊が苦手でして……
お父さん
それはダメだ。
若いのに体がもたないぞ。
……そうだ、義勇さん。




調理をしながら聞き耳を立てているけど




どことなくお父さんの話し方がぎこちない






なにか企んでいるのだろうか?
お父さん
うちの娘
料理だけは上手なんです
義勇さんの迷惑じゃなければ
私の娘が三食ともお作りするのは
どうでしょう?





少し自慢げに言ったお父さんに



私も義勇さんも目をまん丸にする
あなた

え?お父さん……?





思わず手を止め
お父さんと義勇さんが
話している方へ顔を向ける
冨岡義勇
冨岡義勇
…………





義勇さんも黙り込んでしまい
あなた

あ、義勇さん!
あまり気にしないでください、あの。
すみませ……

冨岡義勇
冨岡義勇
構わないんですか?




私の言葉は聞こえてないのか



そんなことを言っていて……
お父さん
あぁ、もちろん。
娘も義勇さんに
料理を出すのが嬉しいようで
冨岡義勇
冨岡義勇
…………あなた
構わないのか?






そういいこちらに顔を向け
私に問う。



お父さんは
すごく優しい笑顔を私に向けてくれ
























あなた

……私の料理で良ければ
毎日……作らせてください






そう言い深々と頭を下げた
冨岡義勇
冨岡義勇
本当にありがとうございます。
お父さん
なんのなんの。
お父さん
ささ。
あなた
家を出る準備しておいで
あなた

……え?

お父さん
毎日義勇さんのご飯を作ってあげるんだ
ここから通うなんて
大変だろう。
冨岡義勇
冨岡義勇
……嫌か?俺と住むのは。






私が聞こえない間に
2人ではもうそういう話をしていたみたいで
あなた

いやなんかじゃありません!!!!!!
……迷惑じゃないですか?

冨岡義勇
冨岡義勇
迷惑だと俺が思うと思うか?
すごく有難い





そして
ニコッと微笑んだ義勇さん。






そして鮭大根だけは作って
それから準備をしに部屋へと戻った