〈あなたの両親と…〉
父「ようこそおいでくださいました。悟様」
五条「ああ」
五条「話は手短に」
母「ええ、実は最近、祖母…」
母「あなたにとってはひいお婆様にあたる人の家に行きまして」
母「その日からあなたが急に」
母「『呪力があるなら強くなりたい』と言い出しまして」
五条「…」
母「大事に大事に育ててきましたので」
母「まさか呪術高専へ行きたいのかと思いましてね」
母「名は出さず探りを入れてみましたが、違うと」
母「ただ強くなりたいと」
母「ですので仕方なく、言う通りに教師を付けようと思いまして」
母「ですので五条様には指導を付けて欲しいのです」
母「もちろん高専のとこは告げずに」
五条「……なぜ高専へ入れたくないか伺っても?」
母「それは…」
母「任務へ行かされると聞きまして」
母「教師が守りきれずに亡くなってはいけませんもの」
五条「––––なるほどね…」
五条(過保護ってわけか)
母「呪力があれば…呪力さえあれば……」
母「今までの呪いも、これからの呪いも…」
五条(ただの過保護ってわけじゃない…?)
五条「呪い…とは、どういう?」
父「それはおいおい話します」
五条「分かりました」
なんか怪しいな
呪い?
五条「…僕に引き受けるメリットは?」
父「甘党と聞きました」
父「八ツ橋5年分––––」
五条「やります(即答)」
父「では本日よりよろしくお願いします」
五条「……どこにいるんです?あなたさんは」
父「庭におります。使用人に案内させましょう」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!