第3話

第2話 梨央side②
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2020/11/12 13:26
隣で、大勢の人に囲まれる凛ちゃん。
社交的な性格の彼女は、あっという間に人気者になった。
『香寺さんって、どこに留学してたの?』
『英検の1級持ってるってマジ?』
『凛ちゃんって呼んでも良い?仲良くしてね!』
『どこ住み?学校から近い?』
次から次へと出てくるクラスメイトからの質問。
凛
い、一旦ストップ!順番ね笑
困ったように笑いながらも、丁寧に答えて居て。
優しい所は変わらないんだな、と嬉しくなった。
凛
えっと、留学って言うか...
お父さんの仕事の都合なんだけどね、
住んでたのはロサンゼルスだよ!
英検はその間に取ったんだ!
話すのが楽しくなるような笑顔。
凛
凛ちゃん呼びして貰えたら嬉しい!
あだ名とかも付けてね笑
聞き心地の良い声のトーン。
凛
これから住むのはね、梨央の隣のお家。
知ってる人、居るかな?
自然と会話が弾むような話し方。
全部、俺が持っていない物。
梨央
梨央
えっっ!?俺、聞いてないけど!?
事前に与えられた情報が無さすぎて、思わず声を上げると。
凛ちゃんはケロッとした顔で言った。
凛
そりゃー、そうだよ。言ってないもん
梨央
梨央
大事な連絡とか飛ばし過ぎだって...
基本的に几帳面だけど、変に抜けている所があって。
凛
ごめん、これからは気をつける笑
でも、憎めない。
梨央
梨央
と言うかさ。今日初めて行くんでしょ?
言葉の節々から計画性が感じられない事が気になりつつ。
凛
うん、空港から直接来たから
梨央
梨央
道分かるの?
色々聞いて行くと、かなり問題が見えて来た。
通っていた幼稚園のテレビを壊す程の機械音痴なのに。
凛
.........ネットで調べる
こんな事を言ったりとか。
梨央
梨央
その間は何?
凛
ごめんなさい、やっぱり案内して下さい...
全部1人でやろうとしている所。
もっと頼って良いんだよ、と言いかけた時。
『紅橋とどういう関係!?』
『つ、付き合ってる.....とか?』
『幼馴染じゃ無いの?』
しばらく黙って聞いて居たクラスメイトからの、
俺も巻き込んだ質問攻め。
密かに凛ちゃんに想いを寄せている俺は、
『ただの幼馴染』と言うのに抵抗があって。
梨央
梨央
あー、えっと.....
何と答えるべきか、悩んで居ると。
凛
皆、落ち着いて笑
梨央と私は、昔からの幼馴染だから!
彼女が抵抗も無く、『幼馴染』だと言って笑った。
梨央
梨央
...................っ
異性として全く意識されていない事を再確認し。
梨央
梨央
(やっぱり10年経っても、変わらないか)
気持ちが暗くなって行く。
分かっていたけど、
少しだけ期待してしまっただけに、辛い。
梨央
梨央
.......そう、だね!
でも、今ここで周りや本人にバレる訳には行かないから。
梨央
梨央
凛ちゃんは、"大好き"な幼馴染だよw
『大好き』に別の意味も込めながら、笑った。

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