第10話

#09~過去編3~
36
2020/06/29 14:05
☆せつなside☆

あたしは親の本当の愛なんて知らなかった。だってあたしの実の両親はあたしを愛してくれなかったから。

両親だけでない、兄も、姉もあたしを疎ましく思っていたみたいで、愛してくれなかった。

あたしを愛してくれたのは、あの人と、あの人の家族だった。だから、あたしにとって家族と呼べるのはあの人達だけ。

~せつなの家・リビング~
せつなの父親
う……生まれたのか?
せつなの母親
ええ。生まれたわよ。
せつなの父親
2人目の女の子だな。
せつなの母親
ええ。この子も立派な鬼に育つでしょうね。
せつなの父親
そうだな。
~数年後……せつなが5歳(見た目)の頃~
せつな(幼少期)
♪~~〈ニコニコしている。〉
せつなの母親
せつなはダメね。この歳になっても角が生えてこないし。
せつなの父親
そうだな。
せつなの母親
捨てましょう。
せつなの父親
あぁ。角無し鬼では仕方ない。それに、せつながいなくても、雪月せつき(兄)と月華つきか(姉)が居るし、困ることもないからな。
せつなの母親
そうね。
~とある道端~
せつな(幼少期)
………………
あたしは最初、捨てられたなんて分からなかった。けど、日にちが経ってもお母さんとお父さんが迎えに来てくれないのが分かって、捨てられたのを理解した。

座り込んでいたら、綺麗な人が通りかかったの。

_____________________
聖歌
聖歌
あれぇ?貴女、どうしたの?
せつな(幼少期)
?〈不思議そうに聖歌を見つめる。〉
聖歌
聖歌
お母さんとお父さんはどうしたの?
せつな(幼少期)
……………〈気まずそうに目を逸らす。〉
聖歌
聖歌
ん~……もしかして、捨てられたの?
せつな(幼少期)
コクン……〈頷く。〉
聖歌
聖歌
そっかぁ。ねね、貴女、お名前は?
せつな(幼少期)
せつな……です。
聖歌
聖歌
せつなちゃんかぁ。可愛い名前だね♪あ、私は聖歌。
せつな(幼少期)
………〈戸惑っている。〉
聖歌
聖歌
ねね、せつなちゃん、せつなちゃんさえ良かったら私と来ない?
せつな(幼少期)
え?でも……私は角無し鬼ですよ?
聖歌
聖歌
角がないなんて些細な事じゃない。それに、私はせつなちゃんが気に入ったの。もっと一緒に居たいな。〈ニコニコしている。〉
せつな(幼少期)
聖歌
聖歌
それとも、私じゃせつなちゃんのお母さんにはなれないかな?
せつな(幼少期)
嬉しいけど……その……
聖歌
聖歌
大丈夫。うちの子達は優しいから、すぐに仲良くなれるよ。〈にっこりと笑う。〉
せつな(幼少期)
じゃ……じゃあ……よろしくお願いします……
聖歌
聖歌
うん♪行こっか!
あたしは聖歌さんに手を引かれながら歩いた。

~聖歌の家~
聖夜
おかえり、聖歌。
葉月
おかえりなさい。お母さん。
澪桜
おかえりなさい、母さん。
聖歌
聖歌
うん、ただいま~♪聖夜さん、葉月ちゃん、澪桜君。〈ニコニコしている。〉
せつな(幼少期)
ん………
聖夜
あれ?その子は?
聖歌
聖歌
親に捨てられたみたいでね、放っておけなかったから、連れてきたの。
聖夜
なるほどね。
聖歌
聖歌
せつなちゃん、紹介するね。右から旦那さんの聖夜さん、娘の葉月ちゃん、息子の澪桜君だよ。〈ニコニコしている。〉
せつな(幼少期)
…………………
聖夜
初めまして、聖夜です。よろしくね。〈ニコッと笑う。〉
葉月
初めまして、私は葉月。仲良くしようね!〈ニコニコしている。〉
澪桜
初めまして、俺は澪桜みお。よろしくね。〈にっこりと笑う。〉
せつな(幼少期)
はい、聖夜さんに葉月さん、澪桜さん。よろしくお願いします。〈ぺこりと頭を下げる。〉
葉月
よろしく~♪
澪桜
よろしくね。
聖夜
今日から此処が君の家だからね。
聖歌
聖歌
さ、お風呂入って、お着替えしよっか。
せつな(幼少期)
え?
聖歌
聖歌
だって、お外は寒かったからね。お風呂入って暖まろ?
せつな(幼少期)
!はい……
聖歌
聖歌
じゃ、私はせつなちゃんをお風呂に入れて来るね~♪
せつな(幼少期)
はい。
せつなの入浴中………
聖夜
葉月、澪桜、君達はせつなちゃんの事、どう思う?
葉月
ん?妹欲しかったし、嬉しいよ!
澪桜
俺も!
聖夜
そっか。仲良くしてあげるんだよ。
葉月
もちろん♪
澪桜
うん♪
~入浴後~
せつな(幼少期)
…………
聖歌
聖歌
スッキリしたねぇ♪せつなちゃん。
せつな(幼少期)
…………(コクン)〈頷く。〉
聖歌
聖歌
ね、せつなちゃん、好きな食べ物ある?
せつな(幼少期)
………(フルフル)〈首を横に振る。〉
聖歌
聖歌
えっ!?ないの!?もしかして……ご飯、食べさせてもらってないとか?
せつな(幼少期)
………(コクン)〈頷く。〉
聖歌
聖歌
酷い……親のやることじゃないよ!〈ムスッとしている。〉
せつな(幼少期)
っ……〈ポロポロ泣き出す。〉
聖歌
聖歌
!?私何かしちゃった……?
せつな(幼少期)
ご……ごめんなさい……こんなに優しくして貰ったことないから……〈まだ泣いている。〉
聖歌
聖歌
………大丈夫。此処には貴女を傷付ける人はいないから。それに、私も、優しいお父さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんもいるからね。〈優しくせつなを抱きしめ、頭を撫でる。〉
せつな(幼少期)
おかぁ……さ……〈ギュッと聖歌に抱きつく。〉
聖歌
聖歌
うん、大丈夫。私が守ってあげるから。〈優しく頭を撫でる。〉
せつな(幼少期)
ん……〈泣き疲れて寝てしまう。〉
葉月
せつなちゃん、寝ちゃった?
聖歌
聖歌
うん。私、ベッドに寝かせてくるね。〈せつなを抱き抱え、寝室に向かう。〉
_____________________

あたしは聖歌さんに拾われて初めて幸せになれた。聖歌さんや聖夜さん、葉月お姉ちゃん、澪桜お兄ちゃんは優しくて、本当に大好きで大切な存在になった。

血は繋がってないけど、本当の家族になれたから。あたしの家族と幸せを守るためならどんな事もしてみせる。

☆つづく☆

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