ハッと目を覚ました時は
あたりはもう明るくなっていて
窓から日が差していた
バッと横を見ると
椅子に座りこちらを見ていた
冨岡さんが居た
もしかして
ずっと付き添ってくれていたのだろうか。
目の下に
少しばかりクマができている
そういい
頬に流れている涙を
手で優しく拭ってくれて
自分が泣いていたことに気づく
一体どれほど泣いていたのだろうか
枕元が涙で濡れていた
本当にそうだ。
あの時冨岡さんが来てくれなかったら
確実に私は死んでいた。
何故か
次々と出てくる言葉
それを黙って聞いてくれている
冨岡さん。
悔しさからか
またもや涙が止まらない。
いつからこんなに
泣き虫になってしまったのだろう。
ずっと黙ったままの
冨岡さん。
こんなことばかり言ったから
呆れてしまったのだろうか
私が謝ろうとすると
遮るように冨岡さんが口を開け
私の方をみず
私の手元をじっとみなながら話す冨岡さん
そういい
慰めてくれた
すごく真剣な顔で
そう言うもんだから
思わず笑ってしまって
本気でなんで笑ってるか
分からないような顔をするから
それもまたおかしくて……
《ドンッッッッ》
そんな会話を冨岡さんとしてると
部屋の外から大きな音が聞こえ
するとガラッと扉が開き
胡蝶さんが入ってきた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!