蝶屋敷につき
入る前に息を整える
呼吸を落ち着け
中へと入り
あいつがいる部屋へと向かう。
部屋に入りカーテンを開けると
寝ているあなたがいた。
あぁ…
気づくの遅くなっちまったから…
悪ぃことしたなァ…
俺はベッドの横にある
椅子に腰かけ
あなたの頭に手を乗せた
こんなちっせぇのに
体張って戦ってんだよなァ
自分の事なんざ二の次で…
寝ているから聞こえてないだろうが
寝ているあなたを見つめていると
なぜか
胸が苦しくなった。
優しく手を動かし
奴の頭を撫でる。
ポロポロと
何かがこぼれ落ちるよう
俺の口から
次々と言葉が溢れる
なぜ俺は、こんなことを
言ってるのか
わかんねぇが
こいつを目の前にすると
伝えずにはいられねぇ。
もう自分に抑えが効かねぇなァ
何言ってんだ、俺ァ
……ほんと、らしくねぇ
自分が自分じゃないみたいで
変な感じがする。
そう一言いい
俺は自分の屋敷へと戻ることにした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。