ゆっくりと瞼をあけると
見覚えのある天井が目に映り
…夢、だったんだ…ッッ
よかった…
ベッドに寝かされていて
少し腕を動かすと
かすかに重さを感じ
ゆっくり首を動かしてみると
私の手を握り
椅子に座ったまま
寝ている大好きな人の姿が……
その姿を見ただけで
涙が溢れてきて
握られていた手をギュッと握り返した
すると、
寝ていたはずなのに
バッと起き上がり
私をじっと見つめる
目をまん丸にし
必死に何かをこらえているような顔をし
弱々しく私の名前を呼んだ
そして
ギュッと抱きしめられ
少し震えているのがわかる
私も彼に腕を回した
愛しくて愛しくてたまらない
声が香りが温かさが
全て愛しい…
涙がどんどん溢れてきて
不死川さんの羽織に滲んでいく
抱きしめている力をキュッと強くし
鼻をすする音がした
不死川さんも泣いているの…?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。