第8話

不死川side 3
8,117
2020/01/23 02:32
泣いてる女なんぞ

どうしていいかわかんねぇ……


どうすりゃいいか考えていると

ふと思い出したことがあった。


それはまだ俺の弟達が小さかった頃

よく喧嘩してて

よく泣いていた。


その時に頭を撫でてやると

泣き止んでいた。




いや、

こいつは嫁入り前の女だ。

俺が軽々しく触っていいもんじゃねぇ……


弟、妹達とは訳がちげぇ

そんなことを少しばかり考えていると

ふと顔を上げた女が

あなた
あなた
す、すみません。

このような姿を見せてしまい

申し訳ございません。
そういいながら

袖で目元を強く擦った女。







それを見て無意識に手が動き


頭を撫でてやった










不死川実弥
不死川実弥
そんな強く擦ると
目が赤くなんぞぉ

そういったものの


急に恥ずかしくなってきて


思わず顔をそっぽ向けた


なんてことしてんだ、俺ぁ…
あなた
あなた
す、すみません。
不死川実弥
不死川実弥
いいから
泣きやめやぁ
もう退けることもできなくなった手を

そのままやつの頭の上において置く。


嫌がる素振りもしないから、


大丈夫、か……??
あなた
あなた
ありがとうございます
そういった奴の顔をちらっと見てみると

涙でぐちゃぐちゃな顔で微笑んでいた。




その時、なぜか

胸が締め付けられるような感覚……に。


なんだ、これ……




今まで生きてきた中で感じたことのない

感覚だ。




不死川実弥
不死川実弥
下の奴らは
こうしたら泣き止んでたからよぉ。

泣き虫なお前見てると
俺のとこのどうしょうもねぇ
バカ弟を思い出すなぁ。
玄弥……


こいつを見ていると


お前を思い出す。
最後の最後まで


頼りねぇ兄貴で悪かった。


それなのに俺のそばにいてくれて

俺を兄貴と慕ってくれて………

こいつぁ

お前そっくりだ。





泣き虫で

どこか放っておけない


守ってやりてぇ










そう思った

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