第7話

不死川side2
8,334
2020/01/22 08:13
不死川実弥
不死川実弥
……ウッ、いてぇ……
それから気づけば

胡蝶の屋敷へと運ばれていた。


こんな所でじっとしてちゃぁ

意味ねぇ。

体が少し疼く気がするが

なんとか立ち上がり

自分の屋敷へと戻ろうとすると
あなた
あなた
あ、あの!!!!!!
背を向けてる側のベッドから

女の声がした
不死川実弥
不死川実弥
あ?…誰だぁ、お前
まさか人なんざ

居るとは思ってなかった。


あなた
あなた
こ、ここで
寝ているってこと、は……
怪我をされてるんですよね…??
あ、安静にしておられた方が
よろしいのではないでしょうか……
語尾にかけて声が小さくなる女。

柱以外の女で

俺に構う奴なんかいるんだなぁ。






月明かりが綺麗に奴を照らしていた

うつむき加減で顔のところだけが暗く


ちょうど見えなかったが


その顔を上げて

俺をじっと見つめてきた。



あ……


もしかしてこいつ……



今柱の中で話している

新人隊士のやつか……??



呼吸が使えるって……噂の


それを確認すべく

俺は女の元へ歩み寄り

顔をちゃんと見れるよう

奴と同じ高さになるようしゃがみ込んだ
不死川実弥
不死川実弥
お前……

新人隊士で

呼吸が使えるって噂の……
そう聞くと

一瞬ビクッとして

俺から少し目線を外し

あなた
あなた
あ、え……はい!!

あなたと言います。
17歳です。

呼吸は、桜の呼吸が使えます…
そう言い終わるとまたちらっと俺の方を見た。

緊張しているのか

布団を強く握っていた。

不死川実弥
不死川実弥
お前、柱の中じゃぁ
結構話題になってんぞ。
そういうと

パッと目を開き

俺の方を見つめ

あなた
あなた
大変恐縮です……
そう言い、少し頭を下げた。

何故か少し顔が緩んだ感じがしたが


不死川実弥
不死川実弥
まあ、呼吸が使えるからって
調子のんじゃねぇぞ
呼吸が使えるからと言って

十二鬼月を倒せるかといえばそうじゃない。




今まで幾度となく鬼たちに殺されてきた

新人隊士達は

中には呼吸が使える奴もいた。

そいつらは呼吸が使えるからと

鬼を甘く見ていたがゆえ

殺された奴もいる。




だからこそ。

と思い伝えたのだが


女は

あなた
あなた
そ、そそそそそれはもちろん
わかっています。


今だって十二鬼月でない鬼で
呼吸が使えるのに
ここまで負傷してしまっている
自分が恥ずかしいです。

全然私はまだ強くなれていません。
そう言い

悲しげに微笑んだ後

泣き始めた。
不死川実弥
不死川実弥
おい、お前
なんで泣いてんだァ……
きつく言いすぎたのか?


そんなに言ったつもりはなかったんだが


女は難しい

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