「 …着いた 」
家の前に着いた
いざ、ドアを開けてストーカーを入れようとすると
「 …やっぱり無理かも、ごめん 」
TH「 っえ?! 」
だってなんか、ほんとにこいつが入るんだなって思うとなんか…
TH「 …大丈夫だよ、何もしないから 」
それ当たり前だから
「 … 」
先に入ると、お邪魔しまーすと玄関にやってきたストーカー
自分の家に自分のストーカーあげるってドラマかよって
TH「 うわー…へぇ~ 」
「 なによその感想 」
TH「 一人暮らし? 」
「 うん 」
TH「 なんで?? 」
「 両親が海外で仕事してるから 」
台所で晩御飯の材料を漁る
…今日はカレーでも作るかな
「 今日カレーでいい? 」
TH「 え… 」
「 え、嫌いだった?なら変えるけど 」
TH「 いや、その…俺に、ご飯作ってくれるの? 」
「 うん、…え?なんか変なこと言った? 」
TH「 いや、んーん。ありがと 」
なぜか照れたように下を向きながら笑うストーカー
なんだこいつ
TH「 俺も手伝う!!! 」
元気よくそう言って、私の隣に立つまでは良かったんだけど…
「 ねえもうぜんぜんヘタ!食べ物切ったことないの? 」
TH「 切れてるよ~ほらちゃんと見て、ね? 」
ピラピラ、と私の目の前で人参のぐちゃぐちゃな切れ端を見せてくる
「 もういいから、隣で作業見といて。今度からちゃんとできるように 」
大人しく台所の隅で私の作業を見つめる
時々なにか呟きながら紙に書いているのは、多分メモしてるんだろうな
「 …はい、できた 」
TH「 よし!食べよう! 」
すでに用意してくれた皿にカレーをよそって、小さな食卓にストーカーと向かい合わせ
「 いただき TH「 いただきまあぁぁぁす!! 」…そんな大きな声で言わなくていい 」
TH「 んんっ!美味しい!絶品だよあなた~ 」
大きな口で次々と食べていく
…なんか、ちょっとだけ嬉しかった
TH「 おかわりは?!」
「 ないよ、それだけ 」
TH「 えー……じゃあもらう 」
「 え? 」
そう言って私の食べかけのカレーを口に運ぶ
いやいやちょっと、!!
TH「 早く食べないとぜんぶ食べるよ~? 」
「 っな!待ってよもう、」
負けじと食べる私
いま、ひとつの皿のものを一緒に食べてる状況ってことは、あまり意識してなかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!