無料スマホ夢小説ならプリ小説 byGMO

前の話
一覧へ
次の話
1,789
2021/04/25

第25話

俺の婚約者になってください
【あなたside】

休日、私は真白先輩に頼まれて、
式場を一緒に見に来ていた。
有栖川 真白
有栖川 真白
ごめんね、うちの両親、
気が早くて
あなた

大丈夫ですよ

有栖川 真白
有栖川 真白
あの不祥事のことがあったから、
父さんは鷹宮家との縁談を意地でも
逃したくないんだよ。
そういう面倒事に、
あなたちゃんを巻き込んでしまった
あなた

先輩……
また自分を責めてますね?

有栖川 真白
有栖川 真白
え?
あなた

先輩は悪くないです

有栖川 真白
有栖川 真白
あなたちゃん……
あなた

式場の見学を勝手に予約して
しまったのは、ご両親でしょう? 
だから先輩のせいじゃないです

有栖川 真白
有栖川 真白
ありがとう、でも本当にごめんね。
卒業までに俺を好きになれなかったら、
婚約は破棄していいから。
あまり気負わないで
あなた

はい……

先輩に優しくされると、罪悪感がわく。
あなた

(私、晴くんが好きなのに、
このまま先輩といていいのかな?)

あなた

(これって、晴くんの代わりに
するために先輩を利用してるのと
同じことだよね?)

ひどいことをしてるんじゃないかと
悩んでいると、
式場のスタッフが近づいてくる。
式場のスタッフ
式場のスタッフ
よろしければ、結婚式の体験を
していかれませんか?
あなた

そんなことができるんですか?

式場のスタッフ
式場のスタッフ
はい。我が社ではお客様に
貸し出し用のウエディングドレスを
着ていただいて、結婚式の体験ができる
サービスが人気でして
式場のスタッフ
式場のスタッフ
実際に体験していただくことで、
式場のよさを実感していただければと
有栖川 真白
有栖川 真白
せっかくだし、どうかな?
予行練習の写真でも見れば、
うちの両親もしばらく
静かにしてると思うから
あなた

それなら、協力します

あなた

(先輩の役に立てることなら、
力になりたいし)

こうして、私は先輩と結婚式の体験をすることに
なったのだけれど……。
あなた

(まだ高校生なのに変な感じだな)

純白のドレスに身を包み、
私はヴァージンロードを歩く。

先輩のもとへ向かいながら思い出すのは、
悲しいことに晴くんと過ごした日々。
あなた

(晴くん、ひとりで家事できてるのかな。
あのクソまずいお粥、
もう食べられないのも、寂しいし……)

涙が滲んで世界がぼやけて見えたとき。

──バンッ!

背後で式場の扉が開け放たれる。

驚いて振り返れば、
そこにいたのは……。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
お前のこと、奪いに来た!
息を切らした晴くんだった。

私は頭が真っ白になって、
持っていたブーケを落としてしまう。
あなた

なっ、んで……ここに?

柴園寺 晴
柴園寺 晴
俺、お前が本当にいなくなるまで、
どれだけお前が俺にとって
大事な存在だったか、気づかなかった!
晴くんはそう言いながら、
大股でこちらに近づいてくる。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
だけど、他の男のもんになるって
わかった途端、居ても立っても
居られなくて、やっぱお前が
好きだって思い知った!
あなた

う、うそ……本当に?
本当に私のこと……

柴園寺 晴
柴園寺 晴
好きだ。誰にも渡したくねえくらい、
あなたが好きだ!
あなた

……っ

ぶわっと目から涙がこぼれ落ちる。

唇から漏れそうになる嗚咽を我慢していると、
背後から先輩の声が優しくかけられる。
有栖川 真白
有栖川 真白
あなたちゃんは、どうしたい?
振り向けば、真っ白なタキシードを着た先輩が、
柔らかく微笑んでいた。
あなた

私……ごめん、なさい。
私も、ずっと晴くんのことが……

有栖川 真白
有栖川 真白
それなら仕方ないね。
続きはちゃんと、
本人に言ってあげるんだよ
真白先輩はそう言って、
今度は晴くんに視線を移す。
有栖川 真白
有栖川 真白
もしあなたちゃんを
泣かせたりしたら、
奪いに行くからね
柴園寺 晴
柴園寺 晴
もう絶対に離しません。
俺の生涯を懸けて幸せにするって
約束します
あなた

先輩、本当にごめんなさい

有栖川 真白
有栖川 真白
ううん、謝らないといけないのは、
むしろ俺のほう。本当は少し前から、
あなたちゃんが晴くんを大切に
想ってることに気づいてたんだ
あなた

そうだったんですか?

有栖川 真白
有栖川 真白
うん。だけど、俺はあなたちゃんを
取られたくなくて、気づかないふりを
してた……ごめんね
あなた

そんなっ、私も自分の気持ちを偽って、
先輩にきちんと向き合えてないのに
ずるずると婚約者のままでいたりして、
ごめんなさい

有栖川 真白
有栖川 真白
いいんだ。短い時間でも
夢を見られた。それだけで十分だよ。
どうか幸せになって
先輩に背中を押されて、
私と晴くんはお互いに歩み寄る。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
二度と、離さねえ
晴くんは不敵に笑って、
ウエディングドレスを着たままの私を
横抱きにした。
あなた

晴くん!?

晴くんは私を抱えたまま、
式場を飛び出す。
あなた

ド、ドレス返さないと!

柴園寺 晴
柴園寺 晴
いいよ、別に。
そんなの俺が買い取るし。
つーか、今はそれどころじゃねえから。
俺以外の男と結婚式なんかしてんなよ
あなた

あれはただの体験だから!

柴園寺 晴
柴園寺 晴
体験だろうがなんだろうが、
俺が嫌なんだよ
晴くんは不機嫌そうだけれど、
私はちょっぴりうれしい。
あなた

それって、嫉妬……だったり?

柴園寺 晴
柴園寺 晴
して悪いか、嫉妬
あなた

──! わ、悪くありません……

あなた

(み、認めた! あの晴くんが素直に
嫉妬だって言ってくれるなんて……。
恥ずかしすぎて爆発しそう)

ウエディングドレス姿の私と、
それを抱き上げて走る晴くん。

道行く人が振り返って驚いていたけれど、
その視線すら気にならないくらい私は……。

晴くんの腕の中にいられることが
幸せでたまらなかった。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
あなた
式場から少し離れた場所にある高台の公園で、
私は晴くんに降ろしてもらう。

お互いに向き合うようにして立つと、
晴くんは照れくさそうに私の手をとって、
その甲に口づけてきた。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
俺の婚約者になってください
正式に申し込んできた晴くんに、
胸がじんとする。

私はその手をしっかり握り返して、
泣き笑いを返した。
あなた

喜んで。
大好きです、晴くん

卒業までとは言わず、永遠に。

ずっと一緒にいられる未来を夢見ながら──。

私は今日、腹黒で、だけど世界でいちばん
愛しい王子様の婚約者になりました。

めでたし、めでたし。

END