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2021/04/18

第24話

あいつを奪われたくない
文化祭が終わったあと……。

私はドレスアップして後夜祭のダンスパーティーで、
真白先輩と踊っていた。
有栖川 真白
有栖川 真白
足、怪我したって聞いたけど、
大丈夫?
あなた

あ、はい! 
晴くんに手当てしてもらったので

有栖川 真白
有栖川 真白
柴園寺くんに……
先輩の表情が切なそうに歪んだ気がして、
私は首を傾げる。
あなた

先輩?

有栖川 真白
有栖川 真白
あ、ううん、なんでもないよ。
あなたちゃんが平気ならいいんだ
あなた

私のことよりも、
ダンスができなくて、
何度も踏んでしまってる
先輩の足のほうが心配です

有栖川 真白
有栖川 真白
そんなこと気にしないで。
エスコートするのは
男の特権だからね
あなた

(先輩……やっぱ大人だな。
先輩といたほうが、絶対に幸せだよ)

有栖川 真白
有栖川 真白
あなたちゃん
あなた

はい

有栖川 真白
有栖川 真白
俺、あなたちゃんが好きだよ
あなた

へっ、うわ!

不意打ちの告白に、
私はまた先輩の足を踏んでしまった。
あなた

うう、ごめんなさい……

有栖川 真白
有栖川 真白
こっちこそ、驚かせてごめんね。
でも、どうしても今、
言っておきたくて
あなた

あ、ありがとうございます

あなた

(ドキドキしてる……)

だけど、先輩にときめくたびに、
さっき晴くんに抱きしめられた感触や
近づいた唇が脳裏に蘇る。
有栖川 真白
有栖川 真白
……残念、ダンスが終わっちゃった
曲が止み、私たちはお辞儀をして身体を離す。

先輩がなぜか悲しそうに笑っている気がして、
声をかけようと一歩足を踏み出しかけたとき──。
???
???
今度は俺と踊ってくれますか?
聞き覚えのある声に振り向けば、
そこにはタキシード姿の晴くんが立っていた。
あなた

(晴くん……)

向けられた真剣な瞳から、目を逸らせない。

心臓だけじゃなくて、身体中が喜びに震えてる。
あなた

(先輩に感じたドキドキとは、
比べ物にならないくらい胸が高鳴ってる)

すっと私に向かって、
晴くんが手を差し伸べる。
あなた

(誘いを受けたい。
だけど、私はもう先輩の婚約者なんだ。
私には目の前の手を取る資格がない)

唇を噛んで俯いていると、
背中に先輩が手を添えてきた。
有栖川 真白
有栖川 真白
踊っておいで
あなた

でもっ

有栖川 真白
有栖川 真白
いいから
優しく微笑んで、先輩がその場を立ち去る。

それと同時に、晴くんが私の手を強く引いた。
あなた

あっ……

柴園寺 晴
柴園寺 晴
さっきも今も……悪い。
お前にとっては迷惑だろうけど、
ちょっとだけでいいから、
俺に付き合え
晴くんにしては、弱々しい物言いだった。

私は戸惑いながらも、
いつもとは違って殊勝な晴くんが気がかりで、
そのままダンスを踊る。

ダンスの最中、お互いにかける言葉が
見つけられないせいか無言だった。

だからそのぶん、重ねた手を強く握る。

すると──。
あなた

(あ……)

晴くんもそれ以上の力で握り返してくれた。

そこで、いよいよ認めざるを得なかった。
あなた

(私、晴くんに触れられただけで、
こんなに満たされた気持ちになってる。
ドキドキが晴くんのときだけ大きく
なるのも、きっと……)

私は逸らすことなく注がれている
晴くんの視線を受け止めながら確信する。
あなた

(晴くんのことが……好きだからだ)

あなた

(でも晴くんは、
私のことなんていないほうが
せいせいすると思ってる)

あなた

(だから──。
この想いは伝えないほうがいいんだ)

ダンスが終わると、
名残惜しい気持ちを押し殺して、
私は晴くんから手を離すのだった。

***

【晴side】

後夜祭から数日が経った。

今日は休日だが、俺は特にすることもなく
家でぼんやりとしていた。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
なにが婚約破棄できて
せいせいする、だよ
俺は婚約破棄したのに、
今もあなたと住んでいた家から
出られずにいる。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
未練たらたらのくせに
思わず、自嘲的な笑みがこぼれた。

経験したことのない喪失感に
苛まれていることに気づき、
俺は嫌でも気づかされる。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
俺、どんだけあいつのこと……
好きなんだよ
あいつが先輩を好きかもしれないって思って、
嫉妬した勢いで言ってしまった言葉。

そのひと言で、俺は大事な女を失った。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
今さら、なんて言って
あいつを取り戻せば……
ソファーの背もたれに寄り掛かり、
目を閉じていると──。

スマホの着信がなり、
かけてきたのが誰かも確認せずに出る。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
もしもし
高臣
高臣
柴園寺様、鷹宮家執事の高臣です
柴園寺 晴
柴園寺 晴
……? なんで高臣さんが……
高臣
高臣
五郎様より、伝言を承りました。
後悔があるのなら
迷わず追いかけるように。
気づいたときには、手の届かない
ところに行ってしまうから、と
柴園寺 晴
柴園寺 晴
後悔……
柴園寺 晴
柴園寺 晴
(そんなの、ありまくりだ。
まだ間に合うなら、
今度は俺の口からあなたに
婚約を申し込みたい)
柴園寺 晴
柴園寺 晴
俺は……あいつを奪われたくない
高臣
高臣
今、お嬢様は有栖川様と
式場にいらっしゃいます
柴園寺 晴
柴園寺 晴
(式場!? ふざけんなよ、
結婚なんてさせてたまるか)
高臣
高臣
ご武運を
俺は家を飛び出すと、高臣さんが
送ってきた式場の地図を頼りに
無我夢中で走った。