プリ小説

第5話

5歩目
柏木崇人
立ち話もなんだから、うちでお茶でもしながら話そう
 私は、言われるがまま神社の敷地内にある柏木家にお邪魔する。
 周りを生垣に囲まれた、屋根瓦の二階立て日本家屋。
由良
(友達の家にお邪魔するのなんて、初めて。緊張しちゃうなぁ)
ワンワンッ!
由良
きゃぁ!びっくりした!か、可愛い!柏木くん家で飼ってるか子?
    玄関の脇から、柴犬が尻尾を振って隼人を出迎える。
由良
芝犬?なんでいうお名前なの?
隼人
狛太郎コマタロウ
    隼人はしゃがんで、狛太郎を撫でる。狛太郎を見つめる隼人の目尻が少し下がる。
由良
(柏木くん、こんな穏やかな顔するんだ)
由良
こんにちは、狛太郎
    狛太郎は私を見つめると、クルクルと私の匂いを嗅ぎながら周る。
狛太郎
ワンッ!
柏木崇人
由良ちゃん、狛太郎から許可をもらえたようだね。さあ、どうぞ
由良
あ、お邪魔します!
あら、お客さん?
    家の奥から女性の声がした。
柏木崇人
香織さーん。隼人が友達を連れて来たよ。それも、可愛い女の子の
由良
(そんな、可愛いなんて!)
隼人
友達じゃない!というか、俺が連れて来た訳じゃない
柏木香織
ついに、隼人にも恋人が?
    奥から、パタパタと細身な女性が走って来る。
隼人
お袋!変なこと言うな!
柏木香織
初めまして、隼人の母です。隼人とは、いつから?
    ゆるふわ系とはこういう人をいうのだろう。可愛らしいピンクのエプロンがよく似合っている。
隼人
だから!付き合ってないって言ってるだろ!
    隼人の耳が少し赤くなっている。
由良
えっと、私柏木くんと同じクラスの茅野由良です!
柏木香織
あら、彼女さんではないの?
由良
はい……
    なんだか、こっちまで恥ずかしくなってくる。
柏木崇人
香織さん。由良ちゃんは、今日はうちにお祓いの相談をしに来たんだよ。お茶とお菓子を用意してもらえる?
    崇人は、苦笑いをしながら下駄を脱いだ。
柏木香織
そういうことなの。分かりました。由良ちゃん、どうぞ上がって
    香織は、笑顔でスリッパをパタパタ鳴らして奥に戻って行った。






隼人
で、なんで俺まで一緒にいないといけないんだよ
    隼人が不満そうに私の隣に座っている。畳の居間に通されて話をすることになった。
柏木崇人
まあ、いいじゃないか
柏木香織
お待たせ!どうぞ
    香織がお盆の上に紅茶と洋菓子を載せて持ってきた。
柏木香織
由良ちゃん、紅茶は好き?
由良
はい
柏木香織
良かった〜この紅茶、私のお気に入りなの。このお菓子もね、近所の人からのおススメで、
柏木崇人
香織さん、それはあとで話そうね
柏木香織
あ、ごめんなさいね
由良
いえ、ありがとうございます
    私の前に、花柄の可愛いティーカップが置かれる。
隼人の眉間にシワが寄る。
隼人
お袋も一緒なのかよ
柏木香織
私だけ仲間外れにするの?
    香織は崇人の隣に座る。
柏木崇人
由良ちゃん、いいかな?
由良
はい
    正直私は隼人とこの両親のテンションの温度差に少し驚い
柏木崇人
それで、由良ちゃんがお祓いに来た理由を聞かせてもらってもいい?
    私は、湯気がうっすらと立つ紅茶を口に含む。
由良
私、小さい頃から死んだ人が視えるんです。視えるだけじゃなくて、話すことも触れることも出来るんです。そのせいで、周りの人から変人扱いされていて友達の出来なくて……
    手の平がうっすらと汗ばんでくる。
由良
それで、父の仕事の関係で4月から引っ越してきて心機一転、楽しい高校生活!っと思ったんですが今朝から元モデルの木田遥斗の霊に憑かれてしまって
柏木香織
あの木田遥斗!?
由良
信じられませんよね
柏木香織
いいえ!今も、ここにいるの?
    香織の瞳が輝く。
由良
今は、神社の外にいると思います
柏木香織
なら、ここに呼んで一緒に話しましょうよ
隼人
は?お袋、何言っているんだよ。話してどうするんだよ
    隼人は呆れた顔をする。
柏木香織
だって、遥斗くんと話してみたいじゃない!
隼人
馬鹿なこと言うなよ
柏木崇人
いや、いいかもしれない
隼人
親父まで何言っているんだよ
柏木崇人
霊というのは何かしらの心残りがあって、この世にとどまってしまうものだから、その心残りを取り除いであげるのは良い方法かもしれない
隼人
だからって、こいつがそこまでやる必要はないだろ
柏木崇人
そうかもしれないけど、由良ちゃん。少し、木田くんと話してみたらどうかな?もしかしたら、今後の幽霊対策にもなるかもしれないし
由良
そんなこと、考えたことありませんでした。どうしよう。私に出来るかな……
隼人
おい、お前がそんな面倒なことする必要性はないんじゃないか?
由良
木田さん、さっき私と離れると困る的なことを言っていたし……
柏木香織
大丈夫よ。隼人がいるから、何かあったら助けるから!
由良
柏木くんが助けてくれるなら……
柏木香織
決まりね!私、遥斗くんの分のお茶を用意してくるね
由良
え?お茶?
    香織は勢いよく居間を飛び出して行った。
隼人
はぁー
    私の隣で隼人は大きな溜め息を吐いた。

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桃木昴
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桃木昴
桃木昴といいます。 歩け!恋する百鬼夜行!連載中です。 読んでくださる皆様の日常の楽しみになれる作品にしたいと思っています。 ちなみにアイコンの犬はうちの愛犬です❤️