プリ小説

第9話

9歩目
隼人
おい、あいつ大丈夫なのか?
由良
うーん。大丈夫だって言ってはいるけど、少なからずショックはショックだったみたい
    私達は、遥斗の元マネージャーの柳田に電話をした。どうにか、遥斗のことを信じてもらえたのはいいのだが……
木田遥斗
結婚かぁ……
   遥斗は何回目か分からない大きな溜め息を吐いた。
由良
遥斗さん、良かったじゃないですか!美緒さん幸せみたいで。それに、柳田さんも美緒さんを連れてちゃんと話したいって言ってくれているし!
木田遥斗
ははっ、そうだよね……
    私は隼人と目を合わせる。
由良
ダメっぽい
隼人
はぁーめんどくさい奴。心配だったんだろ?だったら、幸せそうで良かったじゃないのか?
由良
そうなんだと思うけど……
   部屋の外からパタパタとスリッパの音が聞こえてくる。
柏木香織
由良ちゃん、夕食一緒に食べない?
    香織が戸を開けると同時に喋る。
由良
あ、えっと、ごめんなさい。家に弟が1人で留守番しているので帰らないといけなくて……
柏木香織
あら!弟くんいるの?いくつ?
由良
小学校5年生で11歳です
柏木香織
親御さんは家にいないの?
由良
父は今、出張で家にいないので私と弟だけなんです
柏木香織
お母さんは?
由良
母は、5年前に亡くなりました
柏木香織
え、やだ、ごめんなさい!私、知らなくて……
    香織が申し訳なさそうに口元を手で隠す。
由良
いえ、気にしないで下さい!私も言っていなかったので!でも、食事に誘って下さってありがとうございます。私、友達の家にお邪魔するの初めてだったのでとても嬉しかったです!
    焦って身振り手振りが激しくなってしまう。
香織の瞳から涙が流れる。
由良
あ、え?どうしよ!?柏木くん!
    私はめんどくさそうに香織を見つめる隼人に助けを求める。
隼人
俺に聞くな
柏木香織
な、なんていい子なの!?
由良
え?
    香織が私を思いっきり抱き締めてくる。
由良
(どういう状況!?)
柏木香織
由良ちゃん、これからはいつでもうちに来てね!勿論、弟くんも!隼人、良いお友達が出来て良かったね
隼人
待て、別にそいつとは友達とかじゃない
由良
あ、ありがとうございます!
   香織の温もりが伝わってくる。
由良
(いつぶりだろう。人にこんなに強く抱き締めてもらったの)
    なんだか、耳が熱くなってきた。











私は半歩先を行く隼人の顔を見つめる。
由良
柏木くん、ありがとう
隼人
なにが?
由良
私の話を信じてくれたり、家まで送ってくれてありがとう
隼人
別に、コンビニに行くついでだっただけだ。それに、お袋がうるさかったし
    あの後、柏木家から帰ることになったが1人で帰らせるのは危険だと香織が言い出した。家族総出で家まで送られそうになったところで、隼人が送ってくれることになった。
木田遥斗
ふーん。君がいなくても、由良には俺がいるから良いのにね
    少しは元気を出してくれたのだろう。遥斗が私の横を歩く。
隼人
……茅野、お袋が悪かったな
由良
ん?なにが?
隼人
なにがって、おまえの家族のこととか聞いたりして
由良
そのこと?全く、気にしてないよ!むしろ、こっちの方が気を遣わせちゃったよね
隼人
そんなことはない
由良
そっか。それなら良かった。私、本当に嬉しかった。柏木くん、素敵な家族でいいね
隼人
うるさいだけだ
由良
(柏木くんって、本当は優しい人なんだ。なんか、私だけが知っている友達の顔っていいな)
姉ちゃん
    聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
私と隼人は振り向く。
由良
あ、真広(まひろ)!ごめんね、遅くなって!どうしたの?迎えに来てくれたの?
真広
違うから。図書館に行ってた
    真広の鞄から本が見えた。見ただけで読む気が無くなりそうな本が沢山。
由良
あ、柏木くん!この子が私の弟の真広。真広、お姉ちゃんの友達の柏木隼人くんだよ
    私は2人にお互いのことを紹介した。
真広
どうも。姉がお世話になっています
    小学生とは思えない挨拶と無表情。
隼人
どうも
    隼人は軽く会釈する。
由良
柏木くん、家はすぐそこだからここで大丈夫だよ。真広もいるし
隼人
そうか。じゃあな
    隼人はチラッと真広を見てから、元来た道を戻って行く。
真広
もしかして、彼氏?邪魔した?
由良
ち、違うよ!友達!
真広
ふーん。そうなんだ
    明らかに信じていないのが伝わってくる。
真広
それで、そこにいる木田遥斗はどうしたの?
木田遥斗
え?視えるの!?
由良
(そうだった。真広にも視えていたんだった!なんて、説明しよう!?)

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

桃木昴
Vantanバッジ
桃木昴
桃木昴といいます。 歩け!恋する百鬼夜行!連載中です。 読んでくださる皆様の日常の楽しみになれる作品にしたいと思っています。 ちなみにアイコンの犬はうちの愛犬です❤️