私は、緊張からコップの中の水を一気に飲み干す。
私と隼人、遥斗は隣町のファミリーレストランに来ていた。今日は、遥斗と美緒が3年振りに会う約束の日。もうすぐ柳田と美緒が来るはずだ。
壁側には遥斗が座り、私、隼人の順で座っている。周りから見れば少し微妙な空間が空けて座っているように見える。
水を飲んでは呟き、また水を飲む。
落ち着かない様子の私を隼人は呆れた様に見つめている。
隼人は頬杖をつく。
思わず大きな声が出てしまう。
隼人が目を丸くする。
隼人が溜息を吐く。
隼人がボソッと呟く。
眼鏡をかけた長身の真面目そうな、二十代後半ぐらいの男性。その隣に、細身の儚げな美人の二十代半ばの女性が私達の席に来た。
柳田が軽く会釈してくる。隼人が席を立ったのにならって私も立ちあがる。
2人で軽く会釈する。
私達は一旦席に座る。
遥斗は真っ直ぐの美緒を見つめていた。
私はメニューを美緒と柳田に渡す。
美緒が少し口元に笑みを浮かべる。
隼人はメニューを見ないで言う。
私は何気なく遥斗に聞いた。
遥斗は少し自虐的に笑う。
私は遥斗の前にメニューを広げる。
目の前に座っている美緒が息を飲んだのが分かった。
美緒の大きな瞳から涙が滲んでいる。
美緒が泣き笑いのような表情をする。
遥斗は手を伸ばして美緒の頬に触れる。美緒は気付かず、鞄の中からハンカチを取り出し涙を拭く。
私はそんな2人が切なくて見ていられなかった。
柳田は美緒を気遣うように言う。
柳田はベルを押して店員を呼び、テキパキと注文を伝えてる。
少し気まずい沈黙が流れる。
いきなりの美緒からの私は質問に慌てて答える。
隣に座っている隼人が無言で睨んでくる。
私の慌てた様子に美緒が笑う。
美緒が笑ってくれたことに私は少し安堵した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。