プリ小説

第6話

6歩目
由良
木田さん、側に来てくれませんか?
    私は遥斗とちゃんと向き合って話すことを決めた。
鳥居から、10メートル程離れたところに遥斗がこちらを見つめて立っている。
隼人
いるのか?
由良
うん。あそこに立ってる
    私は遥斗の方を指差す。
隼人は面倒だとか、関わりたくないだの言ってはいたが結局私に付き合って一緒に来てくれた。
由良
祓ったりしないので来て下さい。お話ししましょ?
    遥斗は民家の壁を突き抜けて消える。
由良
ダメかぁー怒っちゃったかな?
隼人
帰るぞ
    隼人は家に戻ろうとする。
木田遥斗
話しって何?
    首筋に冷気を感じた。    
私の隣に遥斗が立っている。
由良
うわぁ!びっくりした!戻って来てくれたんですね!良かったー
隼人
なんだ、来たのか?
木田遥斗
こいつ、ムカつくんだけど
由良
木田さん、気にしないで下さい!それより、柏木くんのお母さんが木田さんのファンらしいのでお話ししましょう!
木田遥斗
俺のファン?
由良
そうです!だから、木田さん一緒に来て下さい!木田さんのこと私もっと、知りたいんです!
    遥斗の口元がにやける。が、手で隠す。
木田遥斗
いいけど、条件がある
由良
条件ですか?変なことじゃなければ
木田遥斗
変なことじゃない。まず、木田さんっていうのをやめること!それと、そこの彼には絶対に触れないこと!それなら、いいよ
由良
(本当に変なことじゃなかった)
由良
いいですよ。遥斗さん
    少し照れるけど背に腹はかえられない、やるしかないんだ。
隼人
何がいいんだ?
由良
遥斗さんから条件が出たの。でも、大丈夫!変なことじゃないから!
隼人
条件なんか出してきたのか?
木田遥斗
ねぇ、やっぱりムカつく
由良
遥斗さん、抑えて。柏木くん、私には絶対に触れないでね!
隼人
は?
由良
私に触れちゃうと遥斗さんが離れちゃうから!気をつけてね!
隼人
そういうことか。言われなくてもそうする
   隼人は冷たくそう言うと家の方へ歩いていく。









柏木崇人
では、始めようか
    私の目の前には崇人と香織、隼人が座る。私の右隣りには遥斗が座っている。遥斗の前には紅茶が置かれている。
柏木香織
ねぇ、遥斗くんいるの?
由良
はい。ちゃんと座っています。遥斗さん、柏木隼人くんとご両親の崇人さんと香織さんです
柏木崇人
どうも。この月の森神社の神主をしています。気楽にくつろいで下さい」
木田遥斗
俺のこと視えてないのに。信じてくれているんだ
由良
そうですよ
柏木香織
遥斗くん、なんて言っているの?
由良
視えていないのに信じてくれていることに驚いているみたいです
柏木崇人
それは、由良ちゃんのおかげだよ
由良
私のおかげ
隼人
そんなことより、聞くことがあるだろ?
由良
そんなことって、
隼人
おい、なんで成仏したくないんだ?なにか、心残りでもあるのか?
    隼人は私を無視して単刀直入に言っていく。
由良
柏木くん!そんな、言い方は、
木田遥斗
由良、いいよ。話すから
    私を見つめる遥斗の眼差しは、とても優しかった。
由良
遥斗さん……お願いします。私がちゃんと伝えます
木田遥斗
ありがとう由良
   遥斗が優しく私の頭を撫でてくる。頭に冷たく柔らかい感触が残る。
木田遥斗
俺の心残りは、当時付き合っていた彼女のこと。俺、いきなり死んだからさ、お別れもなにも伝えられなくて悪いことしたなぁって思ってて。でも、今更だよな。3年も経っているのに
   私は、そのまま伝える。
私のことではないのに、言葉にすると苦しくて悲しくて切なくて、目の奥が熱くなる。
由良
(私は遥斗さんのことを勘違いしていたのかもしれない。本当は、もっと……)

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桃木昴
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桃木昴
桃木昴といいます。 歩け!恋する百鬼夜行!連載中です。 読んでくださる皆様の日常の楽しみになれる作品にしたいと思っています。 ちなみにアイコンの犬はうちの愛犬です❤️