プリ小説

第4話

4歩目
由良
えー!!!!!
隼人
うるさい。人の家の前で騒ぐなよ
由良
あ、ごめん……
    私の大声の所為で、神社で“逆上がりが出来るように“とお参りしていた小学生の男の子が興味深そうに見つめてくる。
隼人
騒ぐなら帰れ
隼人はめんどくさそうに溜め息を吐く。
由良
帰れない。お願いがあって来たの!お祓いをしてもらいたいの!
隼人
は?
    自分でも、可笑しなことを言っているのは分かる。
由良
だから、その、お祓いをしてもらいに来たの
隼人
なんで?
   息がつまりそう。体が少し、強張るのが分かる。
由良
それ、柏木くんに言わないとだめかな……
由良
(言いたくないよ。幽霊が視えて、憑き纏われているみたいなこと信じてくれるわけがないよ。きっと、気味悪がられる)
隼人
言いたくないなら別に聞かないが、うちでお祓いしても意味がないと思う
由良
どういうこと?
隼人、おまえ神社の評判を下げるようなことを言わないでくれ
    隼人よりも低い男の声が聞こえた。私は振り返り声の主を探す。
 白い着物に、紫色の袴。人の好さそうな顔立ちの中年の男が立っていた。
隼人
親父かよ
   隼人は不機嫌そうに舌打ちをする。
由良
お、お父さん!?
由良
(似てない……)
柏木崇人
どうも、こんにちは。隼人の父親の柏木崇人です。隼人のお友達かな?
隼人
自己紹介とかするなよ
隼人は心底嫌そうに顔をしかめる。
由良
は、初めまして!茅野由良といいます。えっと、その、柏木くんとは同じクラスです
柏木崇人
隼人も隅に置けないなぁ。女の子を連れて来るなんて
   崇人は意味ありげな笑みを浮かべる。
隼人
違う。こいつが鳥居の前で、変な行動をとっていたから声をかけただけだ
由良
だから、違うの!あれは、引っ張られていたの!
隼人
おまえ以外に誰もいなかっただろ
由良
柏木くんには視えるわけないよ!だって、死んだ人なんだから!
隼人
は?
由良
(言っちゃった……どうしよう!私の大馬鹿!)
   頭から血の気が一気に下がる。
柏木崇人
本当なの?本当に、死んだ人が視えるの?
由良
はい……
隼人
それで、お祓いとか言っていたのか
由良
信じてくれるの?
隼人
そんな下らない嘘ついて、お前に得はないだろ。それとも、嘘なのか?
由良
嘘じゃない。今朝も、柏木くんとぶつかった時、死んだ人と話してた
柏木崇人
今も、その人は由良ちゃんの側にいるの?
由良
(由良ちゃん……)
   息子の隼人と違って父親の崇人は、随分とフレンドリーだ。
由良
えっと、今は、
    私は辺りを見回す。
由良
いた!
    神社から10メートルぐらい離れた家の屋根の上に、こちらを見つめる遥斗がいた。どこか、寂しそうな眼をしている。
由良
あの、青い屋根の上に立っています。今朝から、私に憑いている人で木田遥斗っていう元モデルの人です
私は、遥斗の方を指差す。崇人が目を細めて見つめる
柏木崇人
うーん。さっぱり、視えない。でも、木田遥斗ねぇ……
由良
(やっぱり、信じられないよね。モデルの幽霊なんて)
柏木崇人
面白い!由良ちゃん、少し話を聞かせてもらってもいいかな?
由良
本当に信じてくれるんですか!?
柏木崇人
信じるとも!僕には視えないけどね、実は息子が視える子なんだ
由良
柏木くんが!?
私は驚き、隼人を見る。
隼人
違う。俺の兄貴。親父、紛らわしい言い方するな
由良
(なんだ、お兄さんの方なんだ。だよね。視えていたら、あんな反応しないよね)
柏木崇人
でも、隼人も同じようなものだろ?
由良
え?
柏木崇人
隼人は視えはしないけど、霊に触れただけで霊を成仏させたり離したりすることが出来るんだよ。全ての霊ってわけではないみたいだけど。まあ、歩くお札みたいなものなんだ
由良
歩くお札……ふふっ
隼人
親父、余計なこと言うなよ!
私は、言葉のインパクトが強くて思わず笑ってしまう。
隼人
なに、笑ってんだよ
由良
ごめん、だって、歩くお札って、
止めないといけないと思えば思うほど、笑いが止まらない。
柏木崇人
立ち話もなんだから、うちでお茶でもしながら話そう
隼人が軽く舌打ちをした。

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桃木昴
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桃木昴
桃木昴といいます。 歩け!恋する百鬼夜行!連載中です。 読んでくださる皆様の日常の楽しみになれる作品にしたいと思っています。 ちなみにアイコンの犬はうちの愛犬です❤️