プリ小説

第3話

3歩目
由良
木田さん、どこ行ったんだろう?
    さっきまで、私に取り憑いていた遥斗が消えた。
由良
(まあ、いいか。どこか、違う人の所に行ったのかもしれないし)
    私は高校へと急いだ。










由良
良かったー間に合った
    まだ、予鈴は鳴っていない。遅刻せずには済んだ。私は1年3組の下駄箱から自分の上履きを取る。
ぞろぞろと、他の生徒達も登校している。
由良、こっち。由良、
   男の声。どこからかは、分からないけど呼ばれている。
由良、ここだよ
   上から声が聞こえる。まさかと思い、下駄箱の上を見る。
由良
げっ!いつの間に!
   思ったより、大きな声を出してしまった。
下駄箱にいた生徒全員の視線が私に向く。
由良
あ、どうも、あははは、おはようございます……
   私は適当に笑って誤魔化す。
木田遥斗
ふ、あはははっ!ははっはっ!
おかしい、腹がよじれる!
  遥斗は下駄箱の上で、腹を抱えて笑っている。
由良
ちょっと、付いて来て下さい
    私はもう一度、ローファーに履き替えて校舎裏に走った。



由良
どこに行ってたんですか?
校舎裏に遥斗を連れて来た。  
私は周りに人がいないことを確認する。
木田遥斗
さっきさ、あの目つきの悪い男とぶつかったじゃん?俺さ、気付いたら隣町にいたんだよ。
由良
どういうことですか?
木田遥斗
俺も分からない。幽霊になったら、瞬間移動が出来るようになるのかな
由良
それは、知りませんけど。でも、いきなり居なくなったから驚きました
由良
(変なの。こんなこと、一度もなかったのに)
木田遥斗
もしかして、俺のこと心配してくれてる?だとしたら、嬉しいな
   遥斗が嬉しそうにはにかむ。
由良
し、心配なんてしてません!私、もう行かないと遅刻しちゃうんで。絶対に邪魔しないで下さいね!
   丁度、予鈴か鳴る
由良
ヤバイ!遅刻になっちゃう!
   私は、教室まで走る。











由良
はぁー最悪
   学校が終わり、帰宅する私のため息は止まらない。
木田遥斗
そんなに落ち込んでどうしたの?
   遥斗は民家の塀を猫のように器用に歩いている。
由良
どうしたの?って、木田さんの所為ですからね!もう、今日で私のクラスの評価は変人ですよ!明日から、変人のレッテルを貼られた生活……最悪
    授業中に私はついつい遥斗に話しかけてしまった。それも、結構な大きな声で。
木田遥斗
あれは、面白かったよ。確か、ペリーってどこの国のおじさんか知っている?だっけ?
   遥斗は思い出して笑う。
由良
これも、木田さんが授業中にずっと話しかけてくるからですよ
   遥斗が塀から降りて私の横にくる。
木田遥斗
由良、名前で呼んで
由良
へ?いきなりなんですか?
    遥斗は鼻先がくっつきそうなほど顔を近づけてくる。
木田遥斗
彼女に名前を呼んでもらえないのは、寂しいな。ねえ、遥斗って呼んでよ
由良
(よ、呼び捨てー!?そっか、恋人同士なら普通だよね)
由良
って、なんで納得しているんだ私は!
木田遥斗
ふっ、あははっは、本当に由良は面白いね。もっと、興味が湧いてきちゃった
由良
笑い過ぎです!
   カランカラン、パンパン
鈴の音と手を叩く音が聞こえてきた。
由良
(この音、なんだろう?どこから聞こえてくるんだろう?)
カランカランカラン、パンパン
由良
あ、またこの音
   私は音のする方に吸い寄せられるように歩く。
逆上がりが出来ますよーに!
   2人ぐらいの子どもの声が聞こえてくる。
由良
なんだ、神社の鈴の音かー
   狛犬に石製の鳥居。その向こうにも、もう一つ鳥居がありその奥に拝殿。
由良
(そういえばこっちの道から帰るの始めてだったなぁー神社があるなんて気付かなかった)
由良
それにしても、大きな神社
木田遥斗
ゆ、由良!だめ、行かないで
   私が、鳥居をくぐろうとすると遥斗が私の右手の手首を掴んでくる。
由良
ちょ、ちょっと、痛い!いきなり、何ですか!?
木田遥斗
まさか、お祓いとか考えていないよね!?
由良
え?そんなことは考えていませんでしたけど……それいいですね!
木田遥斗
あー!ダメ!絶対ダメ!行かせないから!
   遥斗が私を鳥居から離そうと引っ張る。
由良
離してください!私は、決めたんです!ここで、お祓いを受けるって決めたんです!
私は、左手で狛犬の台座に捕まる。
木田遥斗
困る!君から離れたら俺は、
おい、何やっているんだ?
   遥斗ではない男の人の声。でも、私には振り返る余裕なんてない。
由良
見てわかるでしょ!誘拐されそうなんです!
誘拐?おまえ、何言ってんだよ
   右肩に手を捕まれる。
おい、茅野
   私を引っ張る遥斗の手が離れた。右手が軽くなる。
由良
あれ?
私は振り返った。
由良
あ、柏木くん……
隼人
おまえ、何やってんの?てか、誘拐犯なんかどこにもいないけど。朝もおかしなこと言ってたし
由良
えっと、その、これには事情があって、
隼人
変な奴
由良
そんな、ストレートに言わなくても……
   隼人の右眉が上がる。
隼人
なんか言ったか?
由良
いえ!何にも!それより、なんでここに柏木くんがいるの?
隼人
なんでって、ここ俺の家だから
由良
神社が?家?
隼人
だから、そうだって言ってるだろ
由良
えー!!!!!!

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桃木昴
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桃木昴
桃木昴といいます。 歩け!恋する百鬼夜行!連載中です。 読んでくださる皆様の日常の楽しみになれる作品にしたいと思っています。 ちなみにアイコンの犬はうちの愛犬です❤️