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第10話

10歩目
真広
また、憑けてきたの?
由良
違うよ、真広。私ね、遥斗さんを助けることにしたの
    この察しの良い弟には誤魔化しが効かない。
真広
面倒臭いことに態々、首を突っ込むってわけ?
由良
面倒臭いなんて、思ってないよ!
真広
ふーん。姉ちゃんが別にそう思ってないならいいけど。あまり、父さんや僕に迷惑かけないでね
    真広は私を置いて歩く。
木田遥斗
随分、冷めた小学生だね
由良
本当は優しい子なんですよ。でも、どこで育て方を間違えちゃったのかな
木田遥斗
まあ、カッコつけてクールなフリをしたくなる年頃なのかもね
由良
そうだといいんですけどねー
    私の口から浅い溜め息が漏れる。
由良
早く帰って夕食を作らないと
    私は先に歩いて行ってしまう真広の後を追いかけた。










急いで夕食を作り、食べた後シャワーを浴びることにした。
由良
はあー疲れた
    熱めのシャワーが疲れを癒してくれる。
    ガラガラ
    誰かが洗面所を開けて入って来る。
由良
(ん?真広かな?)
由良
真広ー?どうしたの?もしかして、一緒に入りたいの?
    返事はない。いつもなら、絶対に冷たい返しがくるはずなのに。
洗面所で何かを探している音が聞こえる。
由良
真広?何、探しているの?
   振り返るとドア越しに白い服に黒いズボンを着た人影が、歩いているのが見えた。
由良
(真広じゃない……?背が高い。大人?)
由良
遥斗さん?
    返事はない。
由良
遥斗さん!お風呂には入ってこないでって言いましたよね!?
    私はドアを少しだけ開けて顔だけ出した。
由良
遥斗さん!……あれ?
    そこには誰も居なかった。
木田遥斗
由良ー?どうしたー?
   洗面所の扉の向こうから遥斗の声が聞こえた。
由良
遥斗さん、今入ってきました?
木田遥斗
入ってない!
由良
じゃあ、誰か入ってきましたか?
木田遥斗
由良の声を聞いてからここに来たから、分からない。真広じゃないの?
由良
そうですか……。じゃあ、真広だったの?でも、背が高かったし……。見間違えたのかな?
    私は少しの違和感を覚えつつも、自分の勘違いということにした。





風呂から上がって、私はベットに座り髪を乾かす。
由良
いいですか?遥斗さん。今から、私は寝るので遥斗さんは朝まで部屋に入らないで下さいね
    遥斗は机の上に座り、不服そうな目で私を見つめる。
由良
そんな顔してもダメです
木田遥斗
なんでダメなの?もう、一晩を共にした仲じゃん?
由良
そ、そんな言い方しないで下さい!勝手に不法侵入しただけですよね?
木田遥斗
由良の寝顔、可愛かったなー
    遥斗が無邪気な笑みを浮かべる。
    頬が熱くなるような感覚が分かる。
木田遥斗
ほら、もう寝たら?
由良
言われなくて寝ます!
木田遥斗
じゃあ、お兄さんが寝るまで側にいてあげよっか?
由良
からかわないで下さい!
    そんな状況で眠れる訳がない。
    遥斗が机から降りて、私の横に座る。
木田遥斗
由良、ありがとう
由良
えっ?
木田遥斗
俺のために頑張ってくれてありがとう
    先程まで笑っていた顔から、真剣な表情をしている。
由良
私だけじゃないですよ。柏木くんや柏木くんのお父さん、お母さんのおかげです。私だけだったら、何も出来なかったです
木田遥斗
それでも、由良。ありがとう
由良
遥斗さん……
木田遥斗
それじゃあ、おやすみ
    冷たい手が私の頭を優しくポンポンと撫でる。遥斗は壁をすり抜けて部屋から出て行った。
    私の心拍が少し速くなった。

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桃木昴
桃木昴
桃木昴といいます。 「アイドルと恋の方程式」 只今、連載中です! ちなみに、アイコンはうちの愛犬です😆 twitter @momoki552
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