第12話

出来たぁ!!!
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2020/05/02 15:48
何を歌おう、そう思った時1番初めに浮かんだのはやっぱり、結奈ちゃんと私の特別な曲。

弟のゆづは作曲も出来る天才肌で、結奈ちゃんの作ってくれた歌詞にメロディをのせてくれた。

編集もしなくてはいけないそうで、ゆづと一緒にあーだこーだ言いながらパソコンと向かい続け、気がつくと3時間以上経っていた。
あなたとゆづ
────出来たぁ!!!
世界に一つだけの曲。

それが今、やっと完成した。

ブルーライトの浴びすぎからか目がしょぼしょぼするけど、そんなことがどうでもいい程嬉しくて。

やっぱり1番初めは結奈ちゃんに聴いて欲しい。
あなた

明日早く来ないかなぁ!!
咲ちゃんにも聞いてもらわなきゃ!!!

投稿するのは2人に聞いてもらってからにしよう。

私はその日、ワクワクとドキドキで眠ることが出来なかった。










やっと聞いてもらえる日がやってきた。

どうかな、変じゃないかな、なんて言う不安も勿論あった。

朝が早いので、残念ながら結奈ちゃんには帰りになってしまうけど、咲ちゃんにはお昼休みに聞いてもらえそうだ。
あなた

────どう、かな…?

咲ちゃんがイヤホンを外すと同時に、私は恐る恐る感想を聞いてみる。

──と同時に咲ちゃんの顔が一気に近づいて。
中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
あなたちゃん、凄すぎるよ!!!
歌詞もメロディも凄く心に響いてくるし、あなたちゃんの歌声に合ってる!!!
物凄い勢いで感想を語られ、私は開けた口を閉じることが出来なかった。

数十秒の沈黙が流れる。
あなた

──えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?

中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
びびび、びっくりした…そんな驚かなくても…でもほんとに!ほんとに凄いよ!!あなたちゃんめちゃくちゃ歌上手い!!!
想像以上の反応で、驚きと戸惑いを隠せない。

お世辞じゃなくて、咲ちゃんは本当にそう言ってくれているのだろうか。

それを察したのか、
中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
もう、お世辞なんかじゃないからね?
私はこの曲凄く好きだなぁ…
むうっと小さく頬を膨らませる咲ちゃん。

どうやら本当に凄いと思ってくれているらしい。

安心感と達成感と疲労感が一気に押し寄せたけど、何とも言えないこの気持ちに今は包まれていたかった。
中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
──でもこの声だとあなたちゃんが歌ってるってクラスの子にバレないかな?
──────え??

ここに来て問題が発生し、私は大きな溜息をついた。
あなた

──声変えた方がいいのかなぁ…
でもいつかはバレそうな気も…

そんな呑気なことを口に出した途端、咲ちゃんの目の色が一瞬で変わった。
中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
それはダメ!!!確かにLIVEとか顔出ししたら絶対バレるけど!今バレたら色々面倒だと思う!!だから、動画投稿とか配信する時はあなたちゃんになっちゃダメ!!
咲ちゃんってこんな喋る子だったかな??

歌い手についても何か詳しいし。

物凄い剣幕で、若干引いてしまったことはここだけの話ということで。

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