涙で声が震える。
視界が揺れる。
それでも届いて欲しい。
結奈ちゃんが居なかったら、あんな楽しい毎日は過ごせてなかったんだよって。
結奈ちゃんと笑い合ったり、一緒に泣いたり、感動したり、その全てが忘れられない思い出なんだよって。
無我夢中で歌った。
ただ、結奈ちゃんに届いて欲しくて。
ゆっくりと顔を上げ、涙を拭う。
結奈ちゃんは凄く幸せそうに微笑んでいた。
握られていた結奈ちゃんの手が、力が抜けたみたいにゆっくりと離れていく。
ママは涙を流しながら、私の頭を撫でた。
看護師さんも結奈ちゃんにずっとごめんね、って謝ってる。
なんで泣いてるの??
私のその言葉で、ママも看護師さんもその場に崩れ落ちた。
私はびっくりして、ちょっとおかしくなって。
──もう、二度と会えないんだ。
分かっていたけど分からない振りをしていた。
知りたくない、分かりたくない、嘘だって言って欲しい、目を覚まして欲しい。
もう一度あの温かい笑顔で出迎えて欲しい。
隣で笑ったり泣いたり驚いたりしたい。
暴れ回る私を看護師さんたちが必死に止めようとする。
もう何もかもぐちゃぐちゃだ。
神様なんて、大っ嫌い。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。