第10話

よろしくお願いします!!!
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2020/05/02 04:50
5月半ば。

桜も散り、緑が辺り一面に広がり始めたそんな季節。
担任の先生
色々あって1ヶ月ちょっと休んでいたあなたさんが、今日から授業に出られるようになりました。
分からないことも多いと思うので、皆さんで支えてあげてください
あなた

あなたです。歌うこととか皆とお話することが好きです!!よろしくお願いします!!!

緊張もしていたけど、お辞儀の後には皆の歓声や拍手が響き渡った。

このクラスで何とか頑張っていけそうな、そんな気がした。

HRを終えると、クラスの皆が一斉に私の方に駆け寄ってきて自己紹介等をしてくれる。
生徒A
あなたちゃん、だよね?
これからよろしくね!!!
生徒B
放課後、学校案内してあげるよ!!!
1ヶ月ちょっとどうして休んでいたのかなんて聞く人は誰もいなかった。

気を遣ってくれていることに申し訳なさを感じながらも、皆の優しさに触れ自然と笑顔になれた。

放課後になり、仮入部みたいな感じで部活が始まっているらしく、皆楽しそうにそれぞれの部活場所へ走っていく。
生徒C
あ、あの、私が校内を案内してもいい?
たくさんの本を抱えながら恥ずかしそうにそう言う女の子を見て、私はなんだか懐かしさを感じた。
あなた

────結奈ちゃん…

無意識に口に出ていた。

幸い目の前の女の子には聞こえていなかったらしいが、何だか無性に会いたくなる。

中学校に通い始めた今も、週3のペースで結奈ちゃんのところに遊びに行きたくさん笑ったり歌ったりしている。

それでも温もりが感じられない寂しさは付き物で。

思い出して泣きそうになるのを必死に堪え、私は目の前にいる女の子に笑顔でお願いします!!!と答えた。




あなた

名前、なんて言うの?
私はあなた!!これからよろしくね!!!

結構大きな学校のようで、覚えるのに苦労しそうだ。

話しかけられるのに慣れていないのか、隣で本をずっと抱えている女の子は身体をびくつかせながらも、可愛い声で答えてくれた。
中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
え、えっと、咲(さき)です。
中田咲、よろしくね、あなたちゃん
ふわっと笑うその笑顔が本当に結奈ちゃんそっくりで、もっとたくさん話したい、咲ちゃんのことをいっぱい知りたいと思った。
あなた

咲ちゃんかぁ…可愛い名前だね!!
本好きなの?

中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
うん、その物語の世界に私もいるような気になれてワクワクするの
本のことになるとさっきよりも笑顔が明るくなって、楽しそうに話す咲ちゃんに私も笑顔になれた。

好きな本や、咲ちゃんお気に入りの場所などを話ながら学校を回っていると、あっという間に1時間が経っていた。

部活もそろそろ終わりなようで、至る所からお疲れ様でした!!!と言う元気な声が聞こえてくる。
あなた

咲ちゃん今日はありがとう!!!
私も本いっぱい読んでみる!!

中田咲(なかたさき)
中田咲(なかたさき)
うん!!いっぱい話そうね!!!
──あ、あの、明日から一緒にお弁当食べてもいい?
あなた

勿論だよ!!!
じゃあまた明日ね!!ばいばい!!

私が笑顔で手を振ると、咲ちゃんも照れながら笑顔で手を振ってくれた。
あなた

私今凄く幸せだよ、結奈ちゃん。
──こんな日がずっと続きますように…

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