最近クラスの中で話題になっているらしい、歌い手という存在。
その名の通り歌を歌う職業らしく、動画投稿や生放送等をするそうだ。(間違ってたらすみません)
Bちゃんが言うには、その歌い手で最近出来たばかりの新人グループが凄くいいのだと言う。
Aちゃんの言葉に、Bちゃんは目を輝かせて嬉しそうに喜んでいる。
遂には、鞄からゴソゴソと何かを取りだし私の机の上にそれを置いた。
Bちゃんがニヤニヤしながら画面をタップする。
そこにはかっこいい男の子3人が立っていた。
アニメーションになっていて、登場してきた男の子たちは皆個性的で、色々な色の髪の毛で…目の色もオシャレで…私には次元が違った。
Bちゃんはもう死にそうなくらい発狂していて、他の皆に布教しまくっている。
自己紹介が終わると、さっきの男の子たちとはまた違った男の子たちがアニメーションで登場してきた。
さっきは爽やかな感じだったけど、こっちは元気な体育系のような感じだ。
AILOSもbreaqoolも自己紹介や雑談を終えると、一瞬静かになり曲が流れ始めた。
どちらも最初から惹き込まれる。
鳥肌はもちろん立つし、不思議とその画面に魅入ってしまう。
ありがとうと言われることに慣れていないのか、咲ちゃんの顔が一瞬で真っ赤になる。
少ししてから、もじもじしつつか細い声で良かったぁと言ってくれた。
お昼休みになり、購買へご飯を買いに行く子や友達のいる教室へ走っていく子、外で食べる子等賑やかだ。
私と咲ちゃんは、昨日咲ちゃんが教えてくれた中庭に行くことにした。
桜はもう散ってしまっているが、緑がよく映える落ち着いた場所。
丁度木陰にもなっているので、凄く気持ちがいい。
あの2グループの曲が頭の中で流れる。
私もあんな風に歌が歌いたい。
結奈ちゃんとの約束が、歌い手になれば果たせるかもしれない。
授業が終わると、私は一目散に家に帰った。
弟であるゆづは楽器も弾けるしパソコンも触れるので、頼りになる助っ人だ。
緊張もあるけど、たくさんの人に歌を届けたい。
深呼吸をして、私はマイクに向き合う。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!