投稿したのが結構遅い時間だったので、誰もまだ聞いてないだろうなぁなんて思いながらスマホを開き自分のチャンネルをチェックする。
ゆづが寝ぼけ眼で私のスマホを覗く。
数秒の沈黙が流れ、
2人で顔を見合わせ叫んだ。
夢なのか、夢じゃないのか。
だってまだ投稿して半日も経ってないのだ。
2人で頷きお互いの頬をつねる。
今日は幸い休みだったので、急いで結奈ちゃんの元へ向かった。
結奈ちゃんは私がここに来るのが分かっていたようで、凄いね!!おめでとう!!!そう言って、私以上に喜んでくれた。
結奈ちゃんの作った歌がたくさんの人に届いて、認めてもらえたという証なのだから。
寂しそうな目で結奈ちゃんがそんなことを言うので、私は全否定する。
この歌を作ったのが結奈ちゃんである限り、もしそうでなくなったとしても私たちの友情は永遠だ。
ほっとしたように結奈ちゃんはいつもの笑顔に戻る。
そうなのだ、結奈ちゃんは死んでからもずっと私の為に歌を作ってくれていた。
書いたりすることは勿論出来ないので、私がノートに書いていく。
ふふふ、と笑い声が重なる。
もっともっとたくさんの人に、この歌が届きますように。
辛い時も悲しい時も、嬉しい時も楽しい時も、結奈ちゃんの歌が隣にあってくれますように。
結奈ちゃんに支えられた私が、今度はたくさんの人を歌で支えたい。
私のやる気に結奈ちゃんものってくれ、墓地に元気のいい『おー!!』が響いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。