第3話

如月中学校
94
2018/01/25 08:14
「いってらっしゃいませ、お嬢様。
お帰りの際は時間までにこちらで待機しております。」
「ありがとう。行ってくるわ。」
私はにこやかに見送る黒崎を尻目に学校へ入った。

(確か、職員室へ行くんでしたわね。
でも、どちらにあるのかしら……?)
私は辺りを見回し、近くの生徒に声をかけた。

「すみませんが、職員室はどちらですの?」
「職員室?そこの階段を上ってまっすぐ行ったら見える突き当たりを曲がったらすぐだよ!一緒に行こうか?」
「お願いしますわ。」
私と見知らぬ案内人は歩き出した。


「職員室の場所聞いたけど、転校生?何年?」
「そうですわ。3年ですの。」
「へぇ、そうなんだ!……あ、ここだよ!」

「失礼しまーす。天海せんせー、いらっしゃいますかー?」
ノックしてドアを開けると、彼女は職員室の中へ言った。

「ごめんね、お待たせ!」
ライトグレーのアンサンブルを着てメガネをかけた女の人が出てきた。

「あなたが天堂さんね。私が3年1組の担任、天海詩音(あまみ しおん)です。
如月中へようこそ!」
「天堂沙羅と申します。1年間よろしくお願いいたします。」

「私とクラス同じなんだ!
私まだ自己紹介してなかったね。
私は品川楓(しながわ かえで)!」
「よろしくお願いします、楓さん。」
「よろしく!……って、あ――――――っ!!」
「ど、どうしましたの?」
楓さんがすっとんきょうな声を出したので、私は驚いてたじろぐ。
「もう時間ヤバい!先生、沙羅ちゃん、早く!」
そう言って楓さんは走っていった。


「私がこのクラスの担任、天海詩音です。
1年間よろしくお願いします。
それでは、朝の会を始めます。」
扉の向こうで天海先生の声がする。
扉の外で待っている私にも届くくらい、
よく通る声だ。

「このクラスに転校生が来ています。入って!」
私は扉を開けた。

「さ、自己紹介して。」
「はい、先生。
…天堂沙羅です。
神城大学附属神城中学校から参りました。
どうぞよろしくお願いいたします。」
最後に私はぺこりとおじぎをした。

「えっ、神城大附属中から来たの!?
正真正銘のお嬢様じゃん!」
教室のどこかで驚嘆の声が上がる。
「えっと、あなたは……。」
「あたしは八神倫奈(やがみ りんな)。
よろしく。」
「よろしくお願いします、倫奈さん。
先生、私の席は…。」
「天堂さんの席は品川さんの後ろよ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
返事をして、私は席についた。

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