ずっと苦しかった。
その苦しさにも気づいてないフリをしてた
こんな私を心から愛してくれたおばあちゃんはもういない
周りの目を気にして私を引き取った実の両親も
私のことを大人しい召使いぐらいにしか思ってない
どうせ行くあてなんてどこにもないんだから
それでも出口なんかない真っ暗闇の中でさまよっていた私に手を伸ばしてくれた五条さんは暖かくて
なんでもできる気がしたの___
あの後
泣き疲れた私はすっかり眠っていたようで見慣れないベッドの上で目が覚めた
あなた 「ここ…保健室…?」
保健室にはなくていいような機材まで置いてあるけど…
ゆっくりと布団から出てカーテンの隙間から外をのぞいてみる
コポポポ…カタ…ッ
女の人かな…?白衣着てる…
ここの保健室の先生かな
?? 「…?」 クルッ
あなた 「あッ!…!!」 バサッ
振り向いた女の人と目が合ってしまった
どうしよう…!!どうするのが正解…?!
コツ…コツ…コツ…ッ
やばいやばいやばい…!!
近づいてるって…
コツ…コ…
バサッ…!!
?? 「起きた?」
あなた 「お、起きました…??」
?? 「ビックリさせちゃったねごめんごめん
暖かい飲み物入れたから飲みな?」
あなた 「えッ!ありがとうございます…!」
渡されたコップを両手で受け取る
あなた 「……フー」
…ゴク…ゴク
あなた 「…!!…美味しい…!」
ココアの温かさが喉を伝っていくのを感じて体の緊張も解れていく
?? 「ふふ…それはよかった」
女の人は小さく笑ってそう言うと
私の横に腰掛けた
あなた 「お名前って…?」
家入 「…ぁぁ…私は家入硝子」
あなた 「家入さん…!」
家入 「硝子でいいよ」
なんだか大人…綺麗な人だなぁ
あなた 「あの…私なんでここに…」
五条 「それは僕から説明するね」
急な声に肩が跳ねる
あなた 「び、びっくりした…五条さん??!」
五条 「さっきぶりかな? 笑」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。