今日もまた同じ1日が始まる。
デビューという目標のためにここにいる練習生
全員が1日中死に物狂いで踊ったり、歌ったり
する日々が。
私はこの空間が嫌いだ。
私のダンスを見ては周りから笑われる。
私の分からない言語で話しているけど、馬鹿に
されていることくらい理解できた。
だからこの空間に居たくなくて、出来るだけ目
立たないようにいつも練習室の端っこの方で練
習していた。
ある日、いつものように練習室の端っこで練習
していた時に、ダンスの先生に呼ばれてそこにいた
練習生全員が集まった。
みんなの目の前で話す彼女はまるで天使のよう
に可愛かった。
目はクリクリで、顔は小さくて、スタイルも良
くて、髪もサラサラで。
私はこの子を見た瞬間に、私はデビュー出来な
いかもしらない、と思ってしまう程だった。
しかも彼女は顔だけではなかった。
ダンス、歌、全てが完璧で、私が入った時から
ずっといるあの人よりも何倍も上手だった。
私もソアさんみたいになりたくて、練習を再開
した。
するとまた、周りからの笑い声が聞こえてき
た。
私は聴こえていないふりをするけど、心はボロ
ボロだった。
だから、あと10秒数えても収まらなかったら逃
げ出そう、と思っていた時にいつもとは違う事
が起きた。
そんなこと言ってくれる人初めてみた。
私はいじめられる事が当たり前のようになって
いたから、こうやって私の味方についてくれる
人ができて驚いた。
ソアさんは性格もいいなんて、ますます目標に
したい人だなって思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。