そう言って私は誰もいない練習室に向かった。
そしてひたすら考えた。
私があのSEVENTEENというグループに入って
も良いのか、私が入ることのメリット、とかた
くさん考えた。
考えたけど答えは出ないままで、だんだん汗も
喉も渇いてきた。
一回気分転換、と思い練習室を出て事務所の近
くにあるコンビニに向かった。
扉を開けると、さっきまでの涼しい部屋から一
気に蒸し暑い空気が私にまとわりついて、今は
夏だと知らせてくれる。
コンビニで水を買ってまた練習室に戻ろうとし
た時、見覚えのある顔がこちら側に歩いてく
る。
ソアちゃんだ!
ソアちゃんは隣にいる男の人と笑いながらこち
ら側に向かって来た。
SEVENTEENの他のメンバーの方かな。
ソアちゃんは私と一緒にいた時もあまり見せな
かった口を大きく開けた笑顔を隣の人に見せて
いた。
私の方がソアちゃんと長くいたのにずるいな、
と言う気持ちが湧いて来た。
離れていた分、ソアちゃんが遠くの人になって
いたと言う少し寂しい気持ちもあった。
それでもソアちゃんを久しぶりに見た嬉しさに
気持ちが昂って、ソアちゃんにお話ししに行こ
うとした。
私はソアちゃんの元に少し小走りで向かった。
でもソアちゃんは違かった。
私が小走りで自分の方に向かっているとソアち
ゃんが私の事に気がついた。
するとソアちゃんは気が付いたのに。
目があったのに。
なのに、ソアちゃんは私の事を知らない人のよ
うに扱って私の隣を通り過ぎたんだ。
なんで?
私はもうあの子の中からいなくなっちゃったの
かな?
私は悲しい、よりも疑問が先に浮かんできた。
多分現実を受け入れる事ができなかったんだろ
う。
私は重い足取りでさっきいた練習室に向かっ
た。
ドアを開けると、誰かいた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。