~紫耀side~
今日は決戦日
あなたにプロポーズをする日だ
カジュアルなドレスを身に纏ったあなたのお腹はまだ少しだけど膨らんで来てる
そしてスーツのポケットにしっかり指輪の箱を入れ、あなたを連れて予約していたレストランに来た
いかにもセレブ御用達のようなレストラン
夜景がよく見える席に通された俺たちはキョロキョロと辺りを見回していた笑
2人揃ってソワソワしてるけど…俺はそれプラスめっちゃドキドキしてる
まあ、今更結婚を断られることは無いと思うが…
男としてビシッとキメるとこはキメたいじゃん?
ニコニコとメニューを眺めてるあなたを見つめながら俺が考えているプランを頭ん中で復習する
取り敢えず…一通り飯を食ってからだな
____
腹も満たされたところであなたはデザートのプリンに夢中になってる
それ食い終わったら多分帰る流れになるし
言うなら今しかねえよな
俺の真剣な表情を察したのかあなたはプリンを食べる手を止めスプーンを置いた
スーツのジャケットから指輪の箱を取り出せばパカッとフタを開けた
その箱の中には俺らの結婚指輪がキラキラと輝いている
言った!
ついに言ったぞ俺!!
反応を伺うようにじっと顔を見つめると、あなたは涙を流しながら嬉しそうに微笑んだ
あなたの指に指輪を嵌めようとしたら何故か止められた
指輪の内側をじっと見てるけど…
気付いたかな
「I'm your hero.」
俺はあの日、そう彫ってもらうように頼んだ
そう言いながら改めて指輪を嵌めてやると更に泣いちゃった笑
初めて嵌めた結婚指輪
なんかすげえ重みを感じるな
次から次へと溢れ出るあなたの涙を拭うと結婚指輪を嵌めた手をギュッと握り締めた
そうだよ
俺は昔も…これからもずっとあなたのヒーローだ
あなたに纒わり付く虫はなんでも退治してやる
産まれてくる俺らの宝のヒーローにもなってやるからな
ヒーローの虫退治・END
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。