芥川の両手にはたくさんの荷物。
普段何も買わない癖に!
外套をハンガーにかけ、お湯を沸かす芥川。
僕は思わず机の上にある珈琲豆を渡す
着々と珈琲を飲む準備を進める。
此奴に僕の話は届いているのか?!
芥川は僕の前に座り珈琲を飲む。
僕はこんな調子で1人で喋っているけれど芥川は淡々と頷いてくれるだけだった。
芥川はいつものように口に手を当て僕を見る。
そして少し笑みを浮かべた。
図星でしかない…。
けれど恥ずかしさで僕は否定をし続けた。
もう、それは正解ですと言っているようなものなのは自分で1番分かっていたけれど、恥ずかしくてそうするしか無かった。、
芥川は哀しそうな顔をしていた。
自分にしか聞こえないような声で呟く。
けれど、芥川にも届いていたようで芥川は僕の頭を撫でる
芥川は椅子を立ちさっき持っていたたくさんの袋を、僕の前に置いた。
言われた通りに袋をひとつずつ開けていく。
すると中には僕が欲しかったものがたくさん入っていた。
芥川は手をひらげた。
そう言われ、断る理由もなく思い切り芥川に抱きつく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!