第5話

5話!!
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2019/05/20 09:27















川にぶち当たった体が少し痛い。









もう、息ももたない。








意識が薄れていく感じがする






助からないとわかっているのに手を伸ばした。




太宰治
太宰治
っっっっっ!!!
中島敦
中島敦
だ...ざい...さん...??




ぐいっと手を引っ張られだんだん水面に近づいていく。






中島敦
中島敦
ぶはっっっ!!
太宰治
太宰治
はぁ..はぁ..。君はバカだね...。死にたくないのに自殺をしようとするなんて
太宰さんは僕を、優しく包み込む





冷たい。




僕のせいで冷たくなってしまった太宰さんはまだ抱擁をとかない






人に抱きしめられたのはいつぶりだろう





いや、生まれてから1度もなかったかもしれない。









僕も太宰さんをぎゅっと抱きしめてみる。
太宰治
太宰治
君、名前は?
中島敦
中島敦
僕の名前ですか?
太宰治
太宰治
そうだよ。教えてはくれないか?
中島敦
中島敦
な..かじまあつし...です。
僕はこの名前はあまり好きではない。






親に捨てられたし、孤児院からも追い出された。





でも1度もこの名前を呼んでもらったことは無い。







それが嫌なだけなのかもしれないけれど
太宰治
太宰治
なぜそんなに嫌そうに名前を云うのだ?
中島敦
中島敦
え...。
言葉が詰まる。




こんなしょうもない理由。



云いたくない。







でも、本当はこんな惨めな僕が嫌いなだけなんだ。




昔のことを思い出したくないだけ。




太宰治
太宰治
素敵な名前だと思うよ?敦くん。
そう云い笑顔を向けてくれる。






あぁ。














貴方とはもう少し早くに出会いたかった

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