第5話

異変
5,215
2018/11/07 13:40
そらる
辛い…だるい…気持ち悪い…
やりたい事もなければ、やるべき事もない。まぁ、あったとしてもやる気は起きないだろう。そんなあのニュースを見た日から一ヶ月くらい経ったある日、俺は我が家で一人グダグダとしていた。
そらる
子供ねぇ……
ネットで適当に調べたら、そろそろ何か起こってもおかしくはないらしい。前々から絶倫の相手はしていたわけだから、受精確率は低いわけではないけれども…腹には特に変化が見られない。 
そらる
何かあたった?賞味期限切れてた??
記憶を辿っても心当たりはなく、かと言ってまふに連絡することでもないと思い、俺はスマホを手にTwitterを漁った。




閉じたまぶたを開くと、血相を変えた旦那が、俺の方を揺らしていた。働かない頭とぼんやりした視界で、自分が眠っていたことに気づく。
そらる
あ、え…まふまふ?
まふまふ
…はぁ、よかった
まふは安心した表情を見せると、俺に抱きつき、死んだかと思ったと言った。そんなの言い過ぎだ、なんて言おうかと思ったけど、巻き付く腕の強さから本気で心配してたんだと思い、俺はあえて言わなかった。
まふまふ
本当に心配したんですよ?家帰っても返事こないし、寝てるのかと思って見てても寝息たてないし…
そらる
いや、そこまで焦る必要は
まふまふ
だって!Twitterに死にそう…なんて書かれてたら、そりゃ心配しますよ!
そっか。言われてみれば、腹が痛くてTwitterいじって報告ついでに現状呟いたような気がする。
まふの顔をやっとしっかり見れた俺は、素直にごめんと謝った。それでも、まふの顔から不安が消えたような様子はなかった。
まふまふ
本当に、大丈夫ですか?死なれたら、困るどころじゃないですよ?
そらる
そこまで命の危機は迫ってないと思う。たぶん何かに当たっただけだろうし
まふまふ
…本当に?
そらる
うん
まふまふ
………よかった
零れたように弱くそう言うと、まふの顔から不安や焦りの色は消えていった。




ただそんな大丈夫なわけはなかった。
そらる
うっ、やば…
壁に身を傾けながら足を進め、また嗚咽感を感じ逆戻り。俺はあれから何日も、自室と手洗い場の往復を続けていた。

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