第3話

130
2021/01/01 17:36
「いつもの席」に座って、授業が始まるのを待つ。







教室の窓際、一番上と、一つ下。

いつもグクと独占する。







私はわりと、この距離感が好きだったりする。
?
あの、隣いいですか?
あなた

あ、どうぞ!

?
ありがとうございます…ここ以外空いてなくて



そう言われて周りを見回すと、珍しく満席だった。







そういえば、話を聞くだけで単位が取れる なんて夢みたいな噂が流れてたような。







私たちはいつもこの先生の講義を受けているから分かるけど、そんなことは決してない。







確かに課題は少ないし、話も面白いから受けていて苦ではないけど…







いくら何でもその噂には無理があるような。




?
いつもこの講義受けてるんですか?
あなた

はい、この先生面白いし、興味あって…

?
へえ…
私も気になってはいたんですけど、なんかひっそり、っていうか…
ちょっとこっちの棟不気味で近寄れなくて




そういって苦笑いを浮かべる、名前も知らない彼女は






とても綺麗だった。





女の私からみても綺麗で、きっとモテるんだろうなぁ…と自分と比べて落胆する。
あなた

あぁ、分かります…(笑)
ちょっと怖いですよね

?
はい…(笑)
…あの、お名前聞いてもいいですか?
あなた

佐藤、です



自分の苗字が好きじゃない。






ありきたりだし______。



?
あ、下の名前は…?
あなた

えっと、あなたです

?
あなたさん、学年は、
あなた

国際教養学部の二年です

?
はあ…頭、良いんですね…!
あなた

…へ?



人に褒められるということに慣れていなくて、どうしても戸惑ってしまう。



?
だって国際教養なんて、医学部の次に頭良いじゃないですか!
私なんて文学部ですよ(笑)
あなた

いやいや、そんな頭良くないですよ(笑)
運で入ったみたいなもんですし…

?
ふふ、あなたさんって遠慮がちなんですね




やっぱり彼女は綺麗だった。






















私もそんなふうになれたら、と思ってしまった。

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