虎杖悠仁side
「これ、花、??」
あなたの部屋に飾ってあったのは、無数の花。
数え切れないほど、床、天井、壁、タンス、ベットに飾られてある。
あなたはその中で瞼を閉じ、寝ていた。
誰が見ても息を飲む。
死んでるんじゃねぇかって。
それくらいあなたは安らかな顔で。
「おい、あなた… 」
まさか、本当に死んでるんじゃねぇかって思って、身体を必死に揺らす。
「おい、あなた!!」
何度か身体を揺すると、あなたは静かに目を開けた。
寝ぼけ眼だけど、目は確実に俺を捉えて、
『イイィィヤァァァ!!』
と、俺の顔を殴ってきた。
流石の不意打ちには反応出来ず、モロ顔面に入って、視界が回る。
「って、テテテ。」
勝手に入ったのは俺だけど、なんか納得いかねぇ……
『へっ、?? 虎杖くん、、?? な、え、どゆ、ヘ、』
あなたは俺が部屋にいること自体パニックなのか、言葉が出ない。
「あーっと、その、五条先生が呼んでて…外から声掛けても返事ねぇから、さ、…」
何とか必死に弁解すると、あなたはほっとした顔を浮かべて、肩の力を抜いた。
『あー…ビックリした…心臓に悪い…』
そう言いながらベットから下りるあなた。
寝ていたからか、服は完全にユル着。
休みを取っていたんだろうし、今は気を抜いているはずなのに、俺の傍に寄ろうとはしなかった。
多分、伏黒が言ってたことは本当だと思う。
色々なことを頭の中で考えるけど、やっぱり1番気になったのは、この花の量だ。
ドライフラワーから、生け花から、造花、枯れ花、グラスフラワー…
花屋でもやってんのかって量に、情報処理が追いつかなかった。
そんな俺に気が付いてか、あなたはある程度距離を取り、俺の隣まで回り込んできて、
『私の術式には、いるんだよね。どうしても、。』
と、零した。
確かに、あの時使っていた花と同じような奴が、花瓶に飾られていた。
手に取って見てみようと、足を進め、手を伸ばす。
しかしそんな俺の行動は、聞いたことも無い怒号によって躊躇された。
『触らないで、!! 』
『虎杖くん、死ぬよ___??』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!