あなたside
『いやぁ、困ったなぁ。』
少年院の前に放置されて早数十分。
両面宿儺との対峙によりお腹が極限状態だった私は、
コンビニのあった方向へ歩き始めた。
かなりの返り血を浴びているので、店員さんには怪訝な目で見つめられたが、
気にせず、チーズ肉まんを注文。
口の中でほかほかしている頃に、嵐は訪れた。
「こーんなところで何してるの??」
聞き馴染みのある、楽しそうな声。
そして何より、少し怒気を含んだ声に私は肩が震えるのを感じた。
『ほよーへんへ。(五条先生)』
まだ肉まんを食べていたので、まともな日本語が喋れず、
目の奥が笑っていない五条先生と見つめ合う。
やがて、ふっかぁーいため息をついたと思ったら、
「着いておいで。」
と腕を引っ張られた。
強引ではなかったから、本人の意思があれば、ということなのだろう。
しかしこんなに睨みつけられて行かない生徒が行くのかと思いながら、
私は肉まん片手に渋々着いて行った。
「3人の成長のため、あなたが生きてるってことは暫くの間秘密にしておくよ。」
歩きながらそう呟いた五条先生の提案には納得だった。
私もこんなに直ぐに生きてましたーなんて言えるほど馬鹿じゃない。
「その代わりあなたには、僕の特別授業を受けてもらうよ。」
♡15→NEXT
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。