あなたside
『おぉ〜!!』
パチパチと手を叩いて五条先生を褒めると、
嬉しそうに目を細めた。
そういう反応がいちいち可愛らしい。
「ちょっと下がってて。」
でも五条先生は直ぐに顔色を変えて、
何処からか向かってきた木の根と対峙する。
役立たずの私はその場をぼーっと見つめていると、
急に頭がフワフワした。
いわゆる、戦意喪失だ。
その隙に木の根には逃げられるし五条先生は
なんだか不機嫌になってしまった。
『ごじょせんせ、ごめんなさいッ』
と頭を下げて謝ると、五条先生はさっきの
真顔が嘘のように輝いた。
「良いよ良いよ〜」
それが本心なのか、どうなのか
私に判断するのは難しかった。
だけど、
今回の課外授業は私にとって改革と言えるくらい
新鮮で、鮮やかなものだった。
「大丈夫。きっとあなたもできるようになるよ」
そう言って頭を撫でてくれる五条先生は
優しかった。
『五条先生。絶対追い越しますから。』
私がそう宣言すると五条先生は楽しそうに笑った。
「待ち遠しいなぁ…」
♡15→NEXT
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。